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戦国異伝

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第七十二話 六角との戦その一


                  第七十二話  六角との戦
 織田軍六万の大軍は観音寺城に迫った。そうしてだ。
 早速その観音寺城を囲む。そのえでだ。
 信長はその堅城を見上げつつだ。こう周囲に述べたのである。
「この城を陥とすことはじゃ」
「はい、それはです」
 すぐにだ。竹中が応える。
「正攻法でもいけます」
「それでもじゃな」
「そうです、しかしです」
「堅城じゃ、この城は」
 見れば城壁が幾重にも山を覆っている。堀も深い。そうしたものを見てだ。
 信長はだ。こう竹中に問うのだった。
「してじゃ。既に策はあると申したな」
「はい」
 その通りだと答える竹中だった。
「それはあります。それは今すぐにでも」
「できる策じゃな」
「では今は」
「いや、まだじゃな」
 信長は笑みを浮かべた。そのうえでだ。
 竹中のその落ち着いた顔を見てだ。こう問うたのである。
「御主は今攻められるがそれでもじゃな」
「より効果的なやり方があります」
「それじゃな。ではそれじゃ」
「観音寺城には十八の支城があります」
 竹中は既にそれだけのことを調べ把握していた。伊達に天下に名を馳せる軍師ではない。
 その彼がだ。信長にさらに話す。
「そのうち重要なものは和田山城と箕作城です」
「ではその二つの城を攻めるのじゃな」
「はい、特に箕作城です」
 この城が重要だというのだ。
「そこを攻めましょう」
「そうじゃな。それではじゃ」
 信長は早速だった。他の家臣達を見回してだ。
 すぐにだ。佐久間と中川、それに佐々等に対してだ。こう告げたのである。
「御主等は和田山城を攻めよ」
「その城をですか」
「我等が」
「うむ、攻めよ」
 こう命じたのである。
「よいな。そうせよ」
「畏まりました。それでは」
「今より」
「総大将は牛助じゃ」
 これは当然のことだった。織田家において武の二枚看板の一人であるからには当然だった。それだけ佐久間が信長から信頼されているということでもある。
 信長も実際に佐久間を確かな顔で見ている。そのうえでの言葉だった。
 こうしてだ。彼等は兵を率いてその和田山城に向かう。続いてだ。
 滝川、丹羽、それに柴田だった。彼等にも告げたのである。
「御主達はじゃ」
「はい、箕作城ですな」
「総大将はじゃ」
 今度のそれはだ。誰かというとだった。
「五郎左、御主じゃ」
「畏まりました」
 丹羽もまた当然だった。彼もまた信長の信任が篤い。その篤さ故にだ。彼もまた総大将に任じられた。そしてそのうえでだった。
 信長は滝川と羽柴を見た。そうして言うのだった。
「それで久助はじゃ」
「はい、それがしは」
「御主は忍を使って五郎左を救え」
「それではその様に」
「猿もじゃ」
 続いては彼だった。
「御主はその知恵を使え」
「はい、それでは」
 こうしてだった。彼等もだった。
 出陣していく。そして信長は柴田達主力と共にだ。観音寺城を囲み続けている。
 その中でだ。柴田が信長に問うた。
「どうもそれがしはです」
「攻めたいのじゃな」
「鉄砲隊があります」
 そのだ。千丁の鉄砲がだというのだ。主力には当然その千丁の鉄砲の主力がある。そしてその主力を使ってだ。どうするかというのである。 
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