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久遠の神話

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第二十九話 闇を払うものその六


 そしてここでは忌々しげな顔になってだ。こう言ったのだった。
「あの連中みたいにな」
「ああ、あの」
「鳥みたいな名前した奴とか額に黒子ある奴とかな」
 そうした輩達のことをだ。中田は話しはじめた。
 その途中でだ。彼は二人にこうも言った。
「まあここにいても何だしな」
「そうですね。戦いも終わりましたし」
「それならですね」
「ああ、帰ろうか」
 帰りながらだというのだ。
「そのうえで話そうぜ」
「わかりました。じゃあ」
「一緒に」
「俺の家に来るかい?」
 気さくにだ。中田は二人を家に誘いもした。
「何ならな」
「中田さんのお家にですか」
「これからですか」
「ああ、どうだよ」
 気さくな笑みは変わらない。そのままだった。
「丁度ケーキもあるからな」
「ケーキですか」
「それがあるんですか」
「ああ。どうだよ」
 まただ。中田は二人を笑顔で誘った。
「お茶もあるからな」
「何か悪いですよ」
「ええ、それは」
 二人は遠慮してだ。そのうえで中田に答えた。
「そんな。ケーキなんて」
「幾ら何でも」
「いいんだよ。一杯あるからな」
 だからいいとだ。中田は遠慮する二人にまた言った。
「俺だけで食うのもあれだからな」
「それで、ですか」
「私達も」
「ああ、来てくれるかい?」
「そうですね。それじゃあ」
「御言葉に甘えまして」
 こうしてだ。二人を家に誘ってからだ。中田はその帰り道の中でもだ。二人に話そうとする。しかしここで彼はある重大なことを思い出した。
 彼はしまった、という顔でだ。二人言った。
「ああ、そういえばな」
「そういえば?」
「何かあったんですか?」
「いや、俺バイクだったんだよな」
 思い出したのはこのことだった。
「バイクで通学してたんだよ、今日もな」
「僕達歩きですけれど」
「それじゃあ」
「二人乗りならまだいいけれどな」
 中田は二人を交互に見てこう言ったのだった。
「三人じゃな。幾ら何でもな」
「駄目ですよね」
「危ないですよね」
「ああ、三人乗りは無理だな」
 それは到底だった。中田もわかることだった。
「俺のワルキューレはでかいから二人はいけるんだよ。けれどな」
「三人になるとですね」
「無理ですよね」
「下手しなくても一人落ちるな」
 運転中にだ。そうなるというのだ。
「だから止めておこうな」
「はい、わかりました」
「それじゃあ」
「さて、じゃあどうするかだな」 
 首を捻りやや困った顔になりだ。中田は二人に半ば尋ねる様にして述べた。
「俺の家に来て欲しいけれどな」
「ううん、じゃあ僕達は今日は申し訳ないですけれど」
「これで」
「ああ、そうだな」
 結局諦めるしかないとだ。三人はそれぞれ結論を出した。 
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