久遠の神話
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第二話 銀髪の美女その二
「それが凄く目立ってな」
「とにかく奇麗な人か」
「そうなんだな」
「ああ、俺も一回見たけれどな」
その人をだというのだ。
「モデルみたいに背が高くてすらりとしててな」
「おいおい、モデルかよ」
「さらに凄いじゃねえかよ」
「とにかく一度見たら忘れられない位だよ」
そうした話を聞いてであった。周りも。
羨ましい顔になってだ。それで言うのだった。
「一回見てみたいよな」
「そんなに奇麗な人だとな」
「大学に行くか」
「そこでな」
「部活は弓道だってさ」
彼はその部活のことも話した。
「アーチェリーもやってたかな」
「どっちにしても弓か」
「弓と弓掛け持ちしてんだな、その人」
「弓好きなんだな」
「そうみたいだな」
実際にそうだとその彼も話す。
「けれど他のスポーツもな」
「できるっていうんだ」
「スポーツ万能なんだな」
「つまりあれか」
ここでクラスメイトの一人が言った。
「スポーツ万能の美人の留学生のお姉さんか」
「一言で言えばそうだよな」
「そういう人だよな」
他の面々もそれで納得する。
「ふうん、そういう人がか」
「大学にいるのか」
「交際できたらいいな」
一人がこんなことを言った。
「俺丁度フリーだしな」
「馬鹿、そんなポイント高い人が御前の彼女になるかよ」
「贅沢言うなよ」
それはすぐに周りに否定された。
「まあとにかく。大学にいて弓やってる留学生の人か」
「その人なんだな」
「髪は銀色で目が緑で」
「モデルみたいな人か」
皆それぞれ言ってくる。そしてだった。
その話をしてだ。それは上城の耳にも入った。
その話をだ。昼にだ。
小柄で黒髪をロングにした垂れ目の女の子にだ。話すのだった。
二人は今食堂で二人用の席に向かい合って座って食べている。そうしながらだ。上城はその女の子、八条学園の制服の一つである。青いブレザーと赤いタートンチェックのミニスカートと赤いネクタイの彼女にだ。きつねうどんを食べながら話した。
「そういう人がいるらしいんだ」
「ああ、その人ならね」
女の子もだ。すぐに彼に応えてきた。彼女はざるそばを食べている。
「知ってるわ」
「えっ、樹里ちゃん知ってるの」
「ええ、私新聞部じゃない」
「それでなんだ」
「そうよ。新聞部だから」
それで情報を得ているとだ。彼女村山樹里は話すのだった。
「聞いてたわ」
「それでなんだ」
「ギリシアから来た留学生の人よね」
「そうらしいね」
「それで髪は銀色で」
樹里はこのことも言ってきた。
「目は緑よね」
「そうそう、そう聞いてるよ」
「あとは弓が得意で」
「背も高いらしいね」
「聞いてるわ。その人のこと」
実際にそうだとだ。樹里はざるそばをすすりながら上城に話す。
「銀月聡美さんね」
「銀月って」
その名前を聞いてだ。上城は眉を顰めさせた。
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