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久遠の神話

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第二十七話 愚劣な駒その三


「日本の国力が出ていますね」
「これでも我が国は軍事に関してはいい加減だ」
「そうなのですか」
「何もかも手を抜いている」
 いささかぼやいてだ。工藤は言った。
「政治的な発言になるからこれで止めておくがだ」
「ですか」
「とにかく。確かにこの艦艇は大きい」
 工藤はこのことは素直に認めた。
「そしてその大きさに見合っただけの設備もある」
「その様ですね」
「食堂に行こう」
 まずはそこからだというのだ。当初の目的を果たすというのだ。
「そして食べよう。金曜だしな」
「金曜。それはそうですが」
「金曜ならカレーだ」
 工藤は言った。
「自衛隊ではそう決まっている」
「日本軍ではですか」
「自衛隊ならだ」 
 工藤は聡美の今の何気ない、ギリシアの考えから見ての言葉をこう訂正させた。
「自衛隊ならそうだ」
「金曜日はカレーですか」
「カレーは知っていると思うが」
「はい、日本の料理の一つですね」
「いや、インドの料理だが」
 今度はだ。工藤がだった。こう言ったのだった。
「インドの料理の筈だが」
「いえ、あれは日本の料理の筈ですが」
「違うが。何故そうなる」
「私はそう聞いています」
 聡美は静かにだ。工藤に顔を向けて答えた。二人、高橋も入れると三人だ。
 その三人が出て来てそうしてだ。そのうえで艦の前で話していた。まだ艦内には入っていない。
 そのうえでだ。聡美はこう言ったのである。
「インドからイギリスに入り」
「カレーの歴史は知っているんだな」
「はい、ギリシアはEUに入っています」
 そこにはイギリスも参加している。欧州連合はかなり大きいのだ。
「その関係でイギリスの人から聞きました」
「カレーのことを」
「イギリス海軍ではシチューの様なものとして食べていたそうですね」
「パンにつけてな」
「それが日本に入り」
「そうしてだ。御飯にかけて食べる様になった」
 日本の食文化に合わせてだ。そうなったというのだ。
「そうなった。だがカレーはインドでもそうして食べていた」
「だからインド料理だというのですか」
「そう日本では考えられているが」
「そうですか。しかしです」
「銀月さんは違うというんだな」
「そう考えています」
 聡美はこう工藤に話した。
「しかし違うのですね」
「違うのですか」
「はい、違います」
 また言う聡美だった。
「和食だと考えています」
「カレーが和食か」
「そう考えていますが」
「成程な。そうした考えもあるのか」
 工藤は聡美の考えを否定しなかった。そしてだ。
 腕を組み考える顔になってだ。こう言ったのだった。
「では。その和食をだ」
「今からですね」
「食べよう」
 そのカレーに対する見方はそれぞれとしてだ。そのうえであらためて言った工藤だった。 
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