久遠の神話
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第二十六話 壬本という駒その三
「実にな。だから私はだ」
「今こうして日本のパンをですね」
「食べる。日本人には日本のパンだ」
こうも言うのだった。
「そう思う」
「ではこのまま」
「食べよう」
悠然とだ。彼は食事を摂ったのだった。権藤がそうしている時にだ。工藤と高橋は。
そのマジックでコーヒー、それにチョコレートケーキを食べていた。そうしてだ。
高橋はクリームをたっぷりと入れたコーヒーを一口飲んでだ。満足した顔で言ったのだった。
「やっぱりコーヒーには」
「チョコレートか」
「はい、ケーキにしてもクッキーにしても」
「どちらもでもか」
「チョコレートですよ」
コーヒーにはだ。あくまでだというのだ。
「その組み合わせが最高ですよ。後は」
「後は?」
「ココアもそうですね」
コーヒーだけでなくだ。ココアの場合もだ。チョコレートが合っているというのだ。
「チョコレートが一番ですよ」
「ココアもそうだな」
「カカオとカカオで」
「これもまたいい組み合わせだな」
「ですよね。俺元々チョコレートが好きでして」
高橋は笑顔でケーキを食べながら言う。そのチョコレートケーキを。
「この組み合わせも結構」
「口にするか」
「します。いや、やっぱり美味しいですね」
「そうだな。ただ君は」
「俺は?」
「紅茶も好きだな」
工藤自身もそうだった。実は彼もコーヒーも紅茶も好きなのだ。その嗜好からだ。高橋に対して言うのだった。その高橋が紅茶を飲んでいることも知っているからだ。
「そうだな」
「ええ、あっちもです」
「コーヒーも紅茶も好きか」
「工藤さんもですよね」
「どちらも美味いからな」
味が好きだから。それでだった。
「飲む」
「俺もそうなんです。それでチョコレートは」
「紅茶にも合うか」
「合いますよね。確かに」
「何か。その話を聞いているとだ」
どうかとだ。工藤は右手に白いカップを持ちながら黒いコーヒーを飲んでいく。希望の様に白いカップにだ。絶望の様に黒いコーヒーが入っている。
「チョコレートが第一だな」
「俺の好みですね」
「そう聞こえるが」
「そうかも知れないですね。俺はとにかくです」
「チョコレートか」
「はい、それが好きです」
実際にそうだとだ。高橋は笑顔で答える。
「子供の頃からなんですよ」
「本当にぢょコレートが好きなんだな」
「大好きですね。毎日だって食べたいですよ」
「太る心配はないにしてもな」
高橋は毎日激しいトレーニングを行っている。剣士として。だからその心配はなかった。
だがそれでもだとだ。工藤は言ったのだった。
「歯がな。心配になるな」
「虫歯ですか」
「チョコレートだけでの話ではないが食べ過ぎるとな」
「虫歯になりますよね」
「甘いものは歯にとって天敵だ」
子供の頃から言われていることをだ。工藤は述べた。
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