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久遠の神話

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第二十五話 使い捨ての駒その十


「政治家はな」
「政策ですか」
「それが第一だからだ」
「傲慢さよりもですか」
「幾ら傲慢でもだ」
 政策がよければだというのだ。
「無論それを実現できるかどうかだがな」
「そして嘘ではないかどうか」
「今の与党はどちらも駄目だ」
「実現できるものでもなかったですし」
「そして嘘でもあった」
「それじゃあ全く駄目ですね」
「その通りだ。だから今の与党はだ」
 どうなるかとだ。工藤はいった。
「負ける」
「今度の選挙では負けますか」
「では君は彼等がまた勝てると思うか」
「無理でしょう。正体がはっきりしました」
 彼等についてはこの上ない侮辱を以てだ。高橋は答えた。
「このうえなく。最低最悪の状況で」
「そうだったな。地震の時といいな」
「尖閣でもそうでしたけれど」
「特に震災は酷かった」
「全くですね」
「あそこまで酷いとはな」
 工藤jもだ。忌々しげなものを隠さずに言った。
「愚劣なパフォーマンスで原発をああさせてな」
「あそこでも怒鳴り散らしていたらしいですね」
「一国の首相が怒鳴り散らしてどうする」
「トップはですよね」
「冷静にだ。落ち着いてことを為すべきなのだ」
 幹部自衛官としてだ。工藤はこのことを弁えていた。そしてだ。
 高橋も警視としてだ。こう言うのだった。
「そうですよね。そこは」
「上官が怒鳴り散らして指揮が成り立つか」
「絶対に無理ですね」
「あいつはそんなこともわかっていなかった」
 その最低最悪の元首相をだ。工藤はこのうえない軽蔑と共に述べた。
「全くな」
「そしてその結果ですね」
「原発はああなってだ」
「震災対策自体もですね」
「後手後手に回った」
「それだけでも許せませんが」
「総理の座にしがみついた」
 さらに悪いことにだった。国民にとって。
「三ヶ月だったな。よく居座ったものだ」
「その間碌なことをしませんでしたし」
「あいつは能力や資質だけではない」
「人間としてもですね」
「どうにもならなかった」
「史上最低最悪の首相でしょうかね」
「文句なしにな」
 そこまで至っているというのだ。あの輩は。
「人類の長い歴史でもだ」
「あそこまでの奴はですか」
「滅多にいないだろう。前任者と同じくな」
「ああ、あいつもですね」
 鳥の名前があるだ。名門の出身で元学者の男だ。
「あいつも酷かったですね」
「間違いなく責任把握能力がない」
「そんなのが首相でいたらそれこそ」
「どうしようもない」
「そんな奴ばかりだったら、ですね」
「支持を失うのも当然だ」
 そこにあるのはその男のポスターだけではなかった。他にもだった。
 その与党のポスターもあった。そのポスターには今国会議員をしている元マスコミ関係者の人物がいた。
 その顔を見てだ。工藤はまた言った。
「こいつが相手ならな」
「選挙に勝てますか」
「まずは。相当馬鹿でもない限りな」
 勝てるというのだ。
「この権藤竜人か」
 工藤はその名前も口に出した。その如何にも傲慢そうな男の名前をだ。 
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