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久遠の神話

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第二十五話 使い捨ての駒その三


「イスラムよりはまだね」
「そういえば欧州のルーツの国でも」
「国でもって?」
「アメリカ人の名前は覚えやすくない?」
「あっ、そういえばアメリカ人の名前はそうだよね」
「ワシントンとかジャクソンとかね」
 樹里は咄嗟にアメリカの大統領の名前を出した。
「そういう名前はね」
「覚えやすいよね」
「ううん、何で欧州系の名前って」
 どうかと言う樹里だった。彼女が言うのはこのことだった。
「やたらとね」
「村山さんはそっちがなんだ」
「そうなのよ。私は欧州の名前が苦手なのよ」
「何かそれぞれ苦手があるね」
「そうみたいね」
 二人で言い合う。
「同じ世界史でも」
「日本人の名前でも昔のだと」
「やたら覚えにくかったりするわよね」
「そうそう。何とか左衛門とか」
「ドラえもんならまだね」
「あれはもうずっと知ってるから」
 日本を代表する漫画だ。最早誰でも知っている。
「慣れてるけれど」
「それでもそれが教科書とかに出たら」
「時代劇に慣れてないと難しいわよね」
「フルネームで出て来たら」
 とりわけだ。それで出て来た場合はだった。
「もうそれだけでね」
「お手上げになっちゃうわよね」
「かなり困るよね」
 そんな話もした二人だった。そのうえで昼も授業を受けた。最後は高代の授業だった。
「では終わりです」
「起立」
 最後のチャイムと共にだ。高代が言うとだ。クラス委員の声がしてだ。
 そのうえで皆起立し礼をする。高代もそれに応えて礼儀正しく一礼する。こうして授業は終わった。
 だが上城がクラスに出る時にだ。その高代がだ。こう彼に言ってきた。
「あの」
「あっ、はい」
「迷っておられますね」
 こうだ。高代がこう言ってきたのだった。
「剣士の戦いについて」
「あの、それは」
「上城君が珍しく授業に集中していなかったので」
 このことを見抜いていたのだった。
「それで何となく思ったのですが」
「おわかりになられたんですか」
「少しですが」
 それでもだ。わかったというのだ。
「感じましたがその通りだったのですね」
「僕は。どうしたらいいんでしょうか」
 二人で下校時間の廊下を歩きながらだ。上城は高代に話をはじめた。廊下の真ん中を二人並んで歩きながらだ。上城は俯き気味に高代に対して言うのだった。
「戦いについて」
「そうですね。僕はもう決めていますが」
「戦われるんですよね」
「はい、戦います」 
 それはだ。絶対にだと答える高代だった。
「そのことはもう既にです」
「決めておられますね」
「その通りです。僕は自分の夢の為にです」
 戦うとだ。はっきりと上城に述べた高代だった。
「戦い。最後の一人になります」
「そうですよね。今は」
「僕が目指す学園を作る為に」
 理想に燃えながらだ。上城に話すのだった。
「その為にはです」
「そうですよね。けれど僕は」
「上城君は何の為に戦うつもりだったのですか?」
「この戦いを止める為に」
 その為にだったと答える。その高代に対して。 
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