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久遠の神話

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第二十話 ハヤシライスその四


 高代にだ。あらためて問うたのである。
「戦いたくはないですけれど」
「それでもなのですね」
「戦いは終わらせたいです」
「上城君は今仰いました」
 高代は上城の話を聞き終えてからだ。それからだった。
 彼にだ。こう告げたのである。
「怪物達と戦うことにはですね」
「特に何も」
「ありませんね。では彼等と戦うことです」
「今はですか」
「そうです。そのうえで力を蓄えてです」
「それでなんですか」
「今はそうされることです」
 これが高代がだ。今上城に言うことだった。
「既にそのお考えだと思いますが」
「実は」
「そうですか、やはり」
「剣士同士の戦いはそれでも」
「何、まず私は何もしません」
 微笑みだ。高代は今は彼とは戦わないとだ。このことは断言するのだった。
 それと共にだ。こうも述べたのである。
「問題はです。広瀬君だけですが」
「あの人ですか」
「今の彼は私が引き受けます」
「先生がですか」
「はい、剣士は剣士の気配を察することができます」
 このことは上城もわかっていた。戦いになるとそれを察してだ。
 そのうえで戦場に何度も来ているからだ。それ故の言葉だった。
 そしてだ。また言うのだった。
「ですからその時はです」
「先生があの人とですか」
「闘います。ですから今はじっくりとこれからのことを考えることです」
「それはわかったのですが」
 それでもだとだ。上城はだ。
 高代の話を聞き終え怪訝な顔になりだ。彼にまた問い返したのだった。
「ですが」
「私が君の味方の様な行動を採ることについてですか」
「それはどうしてなんですか?」
 その怪訝な顔での問いだった。
「僕達は剣士で敵同士なのに」
「ですから私はです」
「先生だからですか」
「はい、教師だからです」
 それ故にだとだ。彼はその穏やかな微笑みで上城に話すのだった。
 それからだ。また言う彼だった。
「教師の務めは生徒を守ることでもあるのですから。それにです」
「迷っているからですか」
「その間は。迷いのある間はです」
「その迷いが解けるまで、ですか」
「私は何もしません。むしろです」
「戦いからですか」
「遠ざけます」
 教師としてまた言ったのである。
「そうしますので。宜しくお願いします」
「有り難うございます」
「御礼はいいです」
 それもだ。いいというのだ。
「何度も申し上げますがこれはです」
「教師の務めだからですか」
「その通りです」
 それがだ。理由だというのだ。
「では宜しいですね」
「はい、じゃあ」
「ではお話は終わりですね」
「はい、これで」
「わかりました。では教室に戻って下さい。そろそろ授業です」
 高代は優しい声で二人に言う。
「私も次の授業がありますので」
「はい、それじゃあ」
「そうします」
「迷いは人につきものです」
 それは絶対にあるとだ。高代はこうも述べる。 
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