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久遠の神話

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第十六話 上城の迷いその三


「思えば不思議な町ですよね」
「神戸の中にあるがな」
「それでも神戸とはまた別の感じがして」
「確かに変わった町だ」
 工藤もそのことを言う。
「何か独特な、な」
「そうした町ですし」
「剣士が集っていてもな」
「何処か自然に思えますね」
「そのことについても違和感がない」
 剣士達が集り戦いになってもだというのだ。
「それも全くな」
「本当に不思議な町ですね。それでこの町で」
「戦うな」
「はい、じゃあ六人目も」
「待とう、そしてだ」
「相手が来たその時に」
「戦うにしてもな」
 覚悟を決めると話す二人だった。そのうえでだ。
 二人はその部屋を出てだ。それからだ。
 八条町にも出る。町に出るとだ。
 すぐにだ。聡美と会った。彼女は今町を歩いていた。
 その彼女にだ。二人はすぐに声をかけるのだった。
「大学の帰りか」
「それとも行く途中かな」
「あっ、今からです」
 行く途中だとだ。聡美は二人に答えたのだった。
 そしてだ。彼女はこう二人に話してきた。
「大学に行きます」
「そうか、今からか」
「学校なんだね」
「そうです。それで部活も出ます」
「いつも歩いているのか」
 工藤が聡美に尋ねた。
「そうするのか」
「はい、ただ最近は」
「何か買ったのか」
「自転車を買いました」
 それをだというのだ。
「それにオートバイもギリシアから取り寄せています」
「ああ、君バイク乗るんだ」
「はい。女ですがそれでも」
「別にいいんじゃないのか?バイクは」
 そのことはだとだ。高橋はいいとしたのだった。
「日本でもバイクに乗る女の子多いしさ」
「そうなんですか。日本でも」
「車だって多いぜ」
「車とどちらが多いでしょうか」
「車だな」
 そちらだとだ。高橋は聡美に答えた。
「どっちかっていうとな」
「そうですか。車の方ですか」
「見ればわかるだろ。日本ってバイクより車の方が多いだろ」
「はい、確かに」
「そういうことなんだよ。実際交通事故もな」
 高橋はここでは困った顔になる。視線も横にいったりする。
「車の方が多いんだよ。それもかなりな」
「かなりですか」
「困った話だよ」
 苦い顔に変わった。そしてその顔でだ。
 高橋は彼等の横、車道を次々と通っていくその車達を見て言うのだった。
「車ってのはちょっと間違えたら凶器になるからな」
「事故によってですね」
「ああ、今こうして通ってる車達だってな」
 どうかというのだ。今のその車達もだ。
「これから事故を起こすのもいるだろうし」
「かつて事故を起こした車も」
「どっちもあるぜ」
 こう聡美にだ。高橋は困った顔で話していく。
「交通事故ってのはなくならないものだからな」
「この国では交通事故でかなりの人が死ぬと聞いています」
「一年で一万人位な」
 それだけの人間が犠牲者となるというのだ。 
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