戦国異伝
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第五十二話 青と黄その二
しかしだ。どうしてもなのだった。
「それでは」
「ただ」
ここでだ。本多はだ。
家康にだ。さらに言うのだった。
「土といいますと」
「土は中央でだというのじゃな」
「はい、つまりは」
本多の目がここで光った。そしてだ。
そのうえでだ。彼は言った。
「殿は徳川を」
「ああ、それはない」
そのことはだ。家康はすぐに否定したのだった。
そのうえでだ。こう答えたのだった。
「わしは天下はじゃ」
「望まれぬですか」
「正直。今の状況を維持するだけでも大変じゃ」
「武田がいるからですか」
「そうじゃ」
まさにだ。その武田がいるからだというのだ。
「その他にもじゃ。我が徳川を圧倒する家は多い」
「それではですか」
「そうじゃ。天下は望まぬ方がよい」
それは確かだと答える家康だった。
「それよりもコツコツといくぞ」
「むう、それはまた」
「殿らしいですな」
「全くです」
本多以外の他の家臣達もだった。このことは。
唸る様にして応えるのだった。そうしてである。
家康はだ。こんなことも言ったのである。
「しかも本朝ではじゃ」
「帝がおられますな」
「京都に」
「それは常にです」
「変わらないことですな」
「何があろうとも」
「本朝では黄色と使ってもよいのじゃ」
明と違ってだ。そうだというのだ。
明もその前の彼の国では黄色は皇帝の色とされている。その他のものには使うことは許されない。これはその国では絶対のことなのだ。
それでだった。家康は。
さらにだ。こう話すのだった。
「この黄色は確かに考えあってのことじゃが」
「しかしですな」
「それは野心ではない」
「天下取りへの」
「その通りじゃ。ただしこの黄色はじゃ」
どうかというのだ。その黄色が。
「徳川の色になるのじゃ」
「そして織田殿ともですか」
「怯むことなく」
「青と黄色では釣り合う」
そうなるというのだ。その二色でだ。
「織田殿に怯んではならぬぞ」
「はい、それはです」
「例え何があろうともです」
「ありませぬ」
そのことはだ。絶対だと答える彼等だった。
「そして殿にもです」
「万が一のことがあっても」
「それでもです」
「守ってくれるというのか」
「当然です」
彼等にとってはだ。それはであった。
「我等は殿の家臣です」
「家臣は主を御護りするものです」
「ですから」
それでだとだ。彼等は言う。
そしてだ。彼等はこんなことも言った。
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