久遠の神話
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第十六話 上城の迷いその二
「そういう奴がいますね、マスコミには」
「ある政党もそうだな」
「はい、あの国の関連組織の学校を無償化しようとしたり」
「そんなことできる筈がない」
工藤の声は怒っていた。明らかにだ。
「テロ支援国家の関連学校なぞな」
「そういえばあの国の拉致に関わっていた奴がいた市民団体の」
「そこからかなり捕まったな」
「ええ、元総理まで」
「ああした輩が総理大臣にまでなった」
工藤はさらに怒っていた。深く静かにだが。
「恐ろしい話だ」
「全くです。我が国もおかしいですね」
「マスコミやああした政党はおかしい」
そのことは間違いなかった。
「その関連組織もだ」
「おかしいにも程があるっていうか」
「考えてみればいい。アメリカ大統領がタリバンの指導者と結託できるか」
「そして資金援助をしたりとか」
金を受け取るどころではなかった。こちらから援助をしていたのだ。
「そんなことはちょっと」
「想像できないな」
「ですが我が国ではですね」
「それが実際にあった」
これが日本の現実なのだ。
「タリバンの工作員がアメリカ大統領になった様なものだ」
「恐ろしいことですよ」
「しかしその総理も捕まり」
そしてどうなるかというと。
「徹底的に調べあげられることになった」
「いいことですね。他の剣士についてはわかりませんでしたが」
「思わぬ収穫があった」
国家としてだ。それがあったというのだ。
「だからよしとするか」
「はい、日本の為には」
「それでだ」
日本のことを話してからだ。工藤はだ。
表情を元に戻してだ。こう高橋に言ったのだった。
「他の剣士達だが」
「剣士は剣士を呼び合うんでしたね」
「無意識のうちにな」
「それで戦い合う」
「それならだ。焦ることもないだろうか」
ふとだ。工藤はこうも考えたのである。
「特にな」
「じゃあ今は」
「調べるがその範囲を絞るべきか」
これが工藤の今の考えだった。
「なまじ日本全国にするからよくない」
「そこを搾ってですね」
「俺達は今神戸にいる」
そしてその神戸の中でもだった。
「八条町にな」
「八条町を集中的にですか」
「調べればいい」
こう言ったのである。
「それでどうだろうか」
「そうですね。本当に日本全土で調べてもです」
広過ぎてだ。かえって駄目だというのだ。
しかしそこを八条町に搾る。それならばだった。
「ですが八条町だけなら」
「見つけるのは簡単だな」
「しかも剣士達が集るのなら」
「見つけるのは容易だ」
「その通りですね」
真剣な顔で頷きだ。高橋は応えた。
「それは」
「ではな。それでいこう」
「はい、八条町ですか」
その町についてだ。高橋は考えを向けた。
そしてだ。工藤にこう言うのだった。
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