戦国異伝
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第五十一話 堅物のことその十三
いぶかしむ顔になりだ。こう言うのだった。
「都からあまりにも離れております」
「それではです」
「やはり無理では」
「そう思いますが」
「確かに難しい」
このことはだ。信長もだった。
こう言う。しかしそれと共にだった。
「だが。あの者にそれなりの資質があればじゃ」
「天下を狙える」
「奥州からでもですか」
「あの男は今暴れだそうとしておるわ」
政宗の今はだ。そうだというのだ。
「そして奥州を手中に収めたならばじゃ」
「関東、東海、そしてですな」
「都にまで」
「一気に来る」
まさにだ。そうしてくるというのだ。
「奥州を手に入れ力をつけたならじゃ」
「ううむ、左様ですか」
「一気にですか」
「都まで」
「それを狙っておる」
信長は政宗の野心をだ。ここまで把握していた。
しかしだった。ここでこんなことも言ったのだった。
「しかし関東には北条がおるな」
「それに上杉もですね」
「武田も」
「進むのは容易ではない」
こう言うのだった。
「大きな勢力は伊達だけではないからのう」
「では伊達が例え今の時点で奥州を手中に収めてもですか」
「それでも彼等を倒さぬ限りは」
「上洛はできませぬか」
「伊達は」
「うむ、それにじゃ」
ここでだ。さらに言う信長だった。
「わしがおる」
「殿がですか」
「伊達にはですか」
「伊達がどう頑張ってもわしがおる」
だからだとだ。不敵に笑って言う信長だった。
「それでどうして天下を取れようか。伊達はじゃ」
「その伊達は」
「どうだというのでしょうか」
「武田も上杉も北条も毛利もじゃが」
その四つの家と同じくだというのだ。
「わしの軍門に下ることになるわ」
「では殿は伊達をですか」
「そして他の家もですか」
「全て」
「そうじゃ。全てわしの家臣とする」
信長は天下と共にだ。大きな野心を見せた。
人も集める、彼は堂々と言ったのである。
「天下を治める人材となってもらう」
「我等と同じくですか」
「そうされますか」
「武田や上杉も」
「そして伊達も」
「虎が虎でおる、龍が龍でおる」
信玄、そして謙信のことであるのは言うまでもなかった。彼等が言われている神獣だ。その神獣達がどうかというのである。今は。
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