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久遠の神話

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第十五話 選択その三


 そしてその声を聞いてだ。二人は周囲を見回した。構えを解いてだ。
 するとだ。二人は同時に見つけた。それは。
 スフィンクスだった。その怪物を見てだ。
 上城と樹里がだ。驚きの声をあげた。そうしてだ。
 二人がだ。こうそのスフィンクスに声をかけた。
「また出て来たんですか」
「貴女が」
「そうよ。私がここに出て来た理由はね」
「何ですか。一体それは」
「どうしてここに」
「貴方達に話すことがあるから」
 それでだとだ。怪物は言うのだった。
「それでなのよ」
「お話するって一体」
「何を」
「貴方達は今闘うべきではないわ」
 スフィンクスが見ているのは二人だった。その二人に対してだ。
 顔を向けそうしてだ。こう告げるのだった。
「今は止めておきなさい」
「それはどういう理由だ?」
「どういう根拠で闘いを止めろっていうのかな」
「中田さんだったわね」
 スフィンクスは中田を見て言うのだった。
「貴方はさっき怪物を倒してきたわね」
「わかるんだな」
「気が強まっているから」
 それを見たうえでだ。わかったというのだ。
「それもかなりの強さの怪物だったわね」
「まあな。ちょっとやそっとじゃ勝てない様な相手だったよ」
「そしてその怪物に勝って」
「強くなったさ」
 口の右端をつり上がらせてみせてだ。中田は答えた。
「そう。丁度な」
「この彼と互角に闘えるだけの」
「こいつは相当な強ささ」
 中田は広瀬を見た。そうしてだ。
 そのうえでだ。彼にも言うのだった。
「工藤さんと高橋さん二人を同時に相手にできる位な」
「けれど貴方はそれだけの力を手に入れたわね」
「怪物を倒してな」
「今貴方達の力は互角よ」
「そしてその互角同士がぶつかればだな」
「どちらも倒れるわ」
 同じ強さの力同士がぶつかれば相殺される。その力学の観点からだ。
 スフィンクスは話してだ。二人を止めたのだった。
 そしてだ。彼女は今度はだ。広瀬に顔を向けて問うたのだった。
「貴方は互角の相手と闘うのかしら」
「間違いなく同士討ちにある相手とだな」
「そう。それでもいいのかしら」
「俺は最後まで生き残る」
 広瀬はこのことを述べた。
「それならだ」
「闘わないわね。今は」
「そうしよう」
 こう言う彼だった。
「今はね。ただ」
「ただ?何かな」
「今の闘いは止めるわ」
 スフィンクスの言うことは限定になっていた。そうしてだ。
 二人にだ。こうも告げた。
「ただ。次の闘いについてはわからないわ」
「止めないっていうんだな」
「そう言うのかな」
「そうよ。それに貴方は」
 広瀬を見た。再びだ。
「あの二人との戦いはすぐに去るつもりだったわね」
「そう。あの二人は強い」
 広瀬は隠さなかった。今は。 
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