久遠の神話
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第十三話 想いの為にその六
「そう、どんなものでも」
「当然人間もか」
「そうなると」
「その通りです。これはどうされますか」
天を覆わんばかりにだ。蔦達は放たれていた。
「少しでも捕まれば終わりですが」
「そうだな。ここは」
「工藤さんの言った通りでしたね」
その蔦達が迫る中でもだ。二人は冷静だった。
そしてだ。高橋はこう工藤に言ったのである。
「二人でないと」
「危険だったな」
「ええ。俺も工藤さんも」
「一人では容易に戦えない」
「けれど二人なら」
「できる」
「はい、退けられます」
こう言い合い。そしてだった。
二人は同時にだ。剣を構えて。
二人同時にだ。仕掛けたのだった。
無数の石がだ。広瀬に向かって飛ぶ。そして雷もだ。
そのうえでだ。剣を振り回してだった。周囲にも飛ばした。それでだった。
蔦だけでなく広瀬も狙う。それを見てだ。
広瀬はだ。己の前に巨大な木を出してそれを楯として防いだ。だがその間に。
蔦達は石と雷に切り裂かれてだ。そして消え去った。それを見て広瀬は言った。
「一人だけなら」
「ああ、俺達もな」
「危なかったよ」
二人もだ。剣を構えなおしてから彼に応える。
「けれどそれでもな」
「こうして二人ならな」
「こうして防げた」
「確かに危なかったけれどね」
「そうですか。二人ならですか」
広瀬の前の巨木が消えた。しかしだ。
また剣を構えなおしてだ。二人に言うのだった。
「そうですね。一人でいるよりは」
「少なくとも危険は減る」
「それもかなりね」
「ええ、それはわかります」
「さて、それでどうするんだ」
「俺達は二人だ」
工藤と高橋は構えたまま広瀬に問うた。
「俺達は君が戦うのなら迎え撃つ」
「そして君に戦いを諦めさせるつもりだけれどね」
「俺としても退くつもりはありません」
ここでだ。広瀬はこう言った。
「けれどです」
「けれど?」
「けれどというと」
「ここは退かせてもらいます」
広瀬は構えを解いた。そのうえで二人に告げたのである。
「今の俺の一番の切り札を防がれましたから」
「さっきの蔦か」
「あれがそうだったんだ」
「はい、ですから今はです」
「退くのか」
「そうするんだね」
「俺はそのつもりです」
彼は退くとだ。二人にまた告げた。
「御二人はどうされるのですか?」
「いや、君が退くのならな」
「俺達は戦わないよ」
そうするとだ。二人もまた広瀬に告げる。
「ただ。それでもだ」
「俺達はあくまで君に対しては」
「戦いを止めろというんですね」
「そうだ。君がどういった目的なのかは知らないがな」
「無益な戦いだよ、この戦いは」
こう話してだった。彼等はあくまで広瀬に戦いを止めさせようというのだった。しかしそれでもだ。広瀬はそのことは確かに言うのだった。
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