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久遠の神話

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第九話 戦いの意義その六


「実は私は」
「ケーキは好きか」
「そうなんだね」
「日本に来て驚きました」
 そうだとも言うのである。
「日本のケーキはとても美味しいですね」
「我が国のケーキはそこまで美味しいのか」
「それは以外だね」
「はい、繊細でしかも口当たりもよくて」
 その日本のケーキについてだ。聡美は自然と微笑んで話をはじめた。
「素材の味も活かしていて」
「そんなにいいのか」
「我が国のケーキって」
「大好きです」
 そしてだ。聡美はこうも言った。
「特にフルーツケーキが」
「ああ、あれか」
「あのケーキが好きなんだ」
「様々な果物の素材を活かして」
 とにかくだ。素材が大事だというのである。
「それでいてケーキと合わせているからこそ」
「好きか」
「そうなんだね」
「はい、大好きです」
 これまでとはうって変わって陽気な顔になりだ。聡美は話す。
「あのケーキがです。他にはフルーツホットケーキも」
「あれもいいな」
「確かにね」
「日本人は美食家なのですね」
 ひいてはだ。日本人についても言った。
「ああしたケーキを作られるとは」
「ではそのケーキをか」
「食べたいんだね」
「自分でお金を出します」
「いや、それはいい」
「こちらも。御礼をしないといけないからね」
 だからだとだ。二人は聡美のその考えはいいとした。
 そしてだ。二人はそのフルーツケーキを頼んで聡美に御馳走した。それを御礼としたのだ。
 聡美が食べ終わってから彼女と別れた。そのうえでだ。
 二人でだ。車の中、高橋が運転し工藤が助手席に座りだ。その中でまた話をした。
 工藤がだ。高橋に言った。
「わかることはわかったが」
「何か入り口って感じですね」
「そうだな。本当に入り口だ」
「入り口のことがわかったって感じですね」
 高橋は工藤に応えて述べた。
「それでもですかね」
「入り口だけでもわかっただけでかなりのものだ」
「ですよね。かなりの」
「そうだ。かなりのだ」
 こう言うのだ。
「決して軽いものじゃない」
「あの娘も知っているのはそれだけですかね」
「そうだろうな。いや」
「いや?」
「若しかすると」
 ふと思いだ。工藤は言った。
「あの娘はまだ知っているのかも知れないな」
「まだですか」
「知っていてそれで隠しているのかもな」
 こう言うのだった。車中において。
「そんな気もする」
「けれど文献には」
「そうは言っているが」
「どうなんですかね、それって」
「あの娘は多分悪い娘ではない」
 工藤は本能的にそのことを見抜いて述べた。
「おそらくな」
「ですよね。それは」
「ただしだ」
 それでもだとだ。ここでだ。工藤はこうも言った。 
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