久遠の神話
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第八話 二人の剣士その十四
「同志っていうのか?」
「はい、戦いを止める為に戦う人達がです」
「入ったんだからな」
それでだ。よかったというのだ。
「まあ最後の最後まで貫くんだな」
「貫く、ですか」
「剣士とは戦わないってことをな」
それをだ。貫くべきだというのだ。
「そうしなよ。俺は違うがな」
「中田さんはあくまで、ですね」
「ああ、俺は戦うさ」
彼の選択は変わらない。あくまで。
それでだ。ここでもこう言うのだった。
「やることがあるからな」
「だからですね」
「ああ、だからな」
「そういうことですね」
「そうだよ。相手が剣を持っているならな」
それならばだった。やはり。
「戦うからな」
「そうなのですね」
「ああ、またな」
これでだ。完全にだ。
中田はワルキューレに乗り姿を消した。後に残った上城もだ。
帰路につこうとする。しかし。
ここでだ。樹里を見て言うのだった。
「一緒に帰ろう」
「帰り道は」
「うん、一人だと危ないから」
それでだというのだ。
「一緒にね」
「そうね。それじゃあ」
樹里もだ。笑顔で頷く。こうしてだ。
二人は共に帰ることになった。その二人にだ。
聡美はだ。微笑んで言った。
「いいことですね」
「工藤さんと高橋さんですね」
「信頼できる人達です」
聡美もだ。このことは保証できた。
「とても。ですから」
「剣士の戦いを止めることはですか」
「できるかも知れません」
「そうですね。僕と同じ考えの人達が剣士にいてくれるから」
「若しかしたら」
できるかも知れないというのだ。
「ですから」
「そうですね。じゃあ僕も」
「頑張って下さい。ただ」
「ただ?」
「剣士が全て戦いを避ける訳ではありません」
このこともだ。聡美は上城に話したのだった。
「それはです」
「そうですね。中田さんも剣を持っている相手なら」
「それならですね」
「はい、戦うと言ってますし」
「中田さんよりさらにです」
どうかとだ。聡美は上城に話していく。
「危険な相手がいます」
「より危険なですか」
「中田さんは危険ではありません」
それはないというのだ。彼は。
「しかしです」
「他の剣士の人達はですか」
「これまでの剣士達の中には」
どういった人間がいたのか。聡美は話していく。
「己の欲望の為にです」
「他の剣士達を倒してですか」
「望んでいるものを手に入れた剣士もいます」
「そうですよね。やっぱりそうした人もいましたよね」
「中にはそれで巨万の富を得たり」
その他にもだった。
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