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戦国異伝

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第二十四話 国友その四


「奴等の用意もできた」
「ではいよいよ」
「今川ともまた」
「決戦の時よ、間も無くな」
 こう話してであった。そのうえでだ。あらためて村井と武井を見てだ。こう話した。
「では今はだ」
「はい、この村の長と会い」
「そうしてですね」
「鉄砲を手に入れる」
 その為に他ならなかった。ここに来たのはだ・
「是非な」
「はい、それでは」
「今より」
 こうしてだった。信長はその長の前に来た。見れば小柄な老人である。彼は茶室の中でだ。信長を出迎えてだ。彼の方から言ってきたのであった。
「ようこそこの村に」
「茶室か」
「織田様は茶がお好きと聞きましたので」
 それでだというのだ。
「それで」
「ふむ。成程な」
 まずは納得した顔で聞く信長だった。村井と武井は彼の後ろに控えて何も言わない。
「で、あるか」
「左様でございます」
「しかしそれだけではあるまい」
 ここでだ。信長は不敵な笑みになってみせて言うのだった。
「そうだな」
「お気付きでしたか」
「わしも茶室はよく使っておる」
「ではやはり」
「そうよ。茶室はどんな話でもできる」
 こう言うのであった。
「狭いうえに離れておるしな」
「おわかりでしたか。それも」
 長は信長の言葉を聞いてだ。感嘆する言葉を述べた。
 そうしてそのうえでだ。こう言うのであった。
「その通りでございます」
「そうじゃな」
「そこまでわかっておられる方とは」
「確かに茶は好きじゃ」
 信長はそれは認める。しかしそれだけではないというのである。
「だが。政に使うともなればじゃ」
「そうしたこともでございますな」
「そういうことじゃ。それでじゃ」
「はい、それでは」
「話はわかっておるな」
 信長は単刀直入に言ってみせた。
「この村に来たということはじゃ」
「鉄砲でございますな」
「まずは五百貰おう」
 数から話した。
「それだけな」
「五百でございますか」
「そうじゃ、五百じゃ」
 長に対してまた告げた。
「それからも常に買わせてもらおう」
「話はわかりました」
 長は感情を顔には出さずにだ。こう返した。
 しかしだ。声には僅かに動揺を見せてだ。こう言うのであった。
「しかし。五百とは」
「何か不服か?金も出すぞ」
「一度に五百も求めてこられた方ははじめてです」
「三好や六角もないか」
「はい、とても」
 実際にそうだという。長のその目は嘘を言っているものではなかった。
「それだけの数とは」
「しかしあるな」
「それがしは嘘は言いませぬ」
 こう言ってからだ。また信長に話した。
「あり申す」
「ではすぐに買おう」
「しかも五百で終わらぬとは」
「多ければ多いだけよい」
 信長はこうも言った。 
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