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戦国異伝

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第二十三話 上洛その三


 それを見てだ。竹中は今話すのであった。
「ですからあの場所にもです」
「五百の鉄砲をさらに増やしたというがな」
「ここでな」
「尾張は今や」
 その鉄砲の数も話されていく。
「どれだけの鉄砲があるのか」
「千はあるというが」
「それだけの鉄砲があるとなると」
「織田殿、やはり」
「尋常な方ではないか」
「若し国友に行かれるのなら」
 竹中はその場合の話もする。
「信長殿はその鉄砲の力で、です」
「美濃をか」
「この国を手に入れられるか」
「それで」
「いえ、美濃だけではありません」
 それより上のものをだと。彼は言うのであった。
「天下もまた。手に入れられるでしょう」
「ふむ。だとするとだ」
「我等の仕えるべき方は途方もない方だな」
「我等が思っていたよりも大器」
「そうした方か」
 四人はそれぞれ言っていく。その器をあらためて感じ取ってだ。
「上洛される」
「ではただの上洛ではない」
「都で公方様に会われるだけではない」
 考えは次々と出されそのうえでまとまっていく。
「さらにか」
「より多くのものを手に入れられると」
「都には確かに多くのものがあります」
 そのこともまた言う竹中であった。
「しかし奈良もあれば堺もあります」
「他にも多くの勢力があるな」
「あの辺りには」
「はい、天下を狙うなら都も堺も無視できません」
 竹中は今は信長の側に立って考えて述べていた。
「ですから」
「それも全て踏まえての上洛か」
「ではそれがどういったものか」
「見せてもらおう」
 こうしてだった。彼等は信長のその上洛を見るのだった。彼の上洛は見る者にはわかっていた。その意義がどういったものかをである。
 そしてその頃。越後でもであった。謙信が二十五将を集めて告げていた。
「では今よりです」
「都にですね」
「上洛を」
「はい、公方様に御会いします」
 こうだ。彼等に告げる謙信であった。
「そしてそのうえで」
「関東管領に正式にですね」
「遂に」
「上杉の名はそれだけのものがあります」
 その幕府の権威を元にしての言葉であった。
「ですから私は」
「はい、では我等も共に」
「都に」
「上洛しましょう。それでなのですが」
「はい、甲斐ですね」
 まずは彼等であった。
「甲斐の虎ですね」
「今は大人しいですね」
「信濃に専念しています」
「治めています」
 そうだとだ。二十五将がそれぞれ話すのだった。
「上野等にも手を伸ばそうとしているようですが」
「越後を窺ってはおりません」
「川中島からもです」
「ならばよしです」
 それを聞いてだ。落ち着いた声で言う謙信であった。
「甲斐の虎とは今は戦いません」
「そして相模もです」
「あの国ですが」
 今度は彼等であった。上杉の敵は一つだけではないのだ。 
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