戦国異伝
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第百一話 海での戦その十
「馬に乗る時はな」
「かなり激しく乗られていますな」
「まことに」
「うむ。その時の揺れは今の比ではない」
それだけ激しいのだ。信長の馬術は。そうしたことがあってだというのだ。
「それでじゃな」
「酔われませんか」
「全くですか」
「平気じゃ。よいことじゃ」
「ではこのまま讃岐に上がり」
「そのうえで」
「あの国をまず四国の足掛かりとする」
そこから四国を攻めるというのだ。
「そうするからな」
「そうされますか。そしてですな」
「次には」
「阿波じゃ」
そこだというのだ。
「あの国じゃ。先程も言ったがな」
「ではやはり三好は完全にですか」
「ここで完全に下す」
そうするというのだ。
そしてだ。信長はここで話題を変えた。その話題はというと。
「四国についても特産品を養おう」
「そうされますか」
「政もですか」
「既に考えておる」
むしろそれがだ。信長の最大の関心の対象だった。
「よくな」
「四国は水が少ない国が多いですな」
竹中はこのことを話した。
「それが厄介かと」
「水じゃな」
「特に水無月には」
月の名前だがこれはまさにそのままの言葉だった。
「なくなります」
「その辺りも考えておくか」
「その国それぞれで特色があります故」
「それじゃ。国によってじゃ」
特色がある、だからこそだという話だった。
「水が多かったり少なかったりするからな」
「そこを確かにしておかねば」
「考えておる。では讃岐にあがるぞ」
「そこで三好との最後の戦になるか」
「半兵衛はどう思う」
信長はここで竹中のその顔を見て問うた。
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