真・恋姫†無双 劉ヨウ伝
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第81話 三国一の花嫁達 前編
私が霊帝に褒美を貰って屋敷に戻ると、袁逢殿とお爺々様が庭で談笑をしていました。
「これは婿殿ではないか! ささ、婿殿、司馬懿殿、席に座られよ」
袁逢殿は上機嫌に私と揚羽に席を勧めてきました。
私と揚羽は勧められるままに席に座りました。
「袁逢殿、本当にお久しぶりですね。今日は、随分と上機嫌ですが、何か良いこともあったのですか?」
私は席に座ると、袁逢殿が上機嫌な理由を聞きました。
「お前と麗羽の婚礼の日取りが決まったのじゃ。揚羽との婚礼もじゃぞ。正宗、正に両手に花じゃな。ハハハハハハ、本当に目出たいの」
お爺々様は笑顔で言いました。
「婿殿、婚礼は1週間後に決まりましたぞ。揚羽殿はその2日後です」
「寝耳に水なのですが・・・・・・」
揚羽は淡々と言いました。
「それは当然じゃよ。何進殿と儂等、お主の母上で決めたのじゃから。安心してくれ。親戚には既に声を掛けているでな」
「麗羽殿はご存知なのですか?」
「最近、そわそわしていたので、何進殿から聞いていていると思いますぞ。本当に、若いというのはいいですな」
袁逢殿は嬉しそうに言いました。
「婚礼には美羽も呼んでいただけませんか? それと美羽の臣下、諸葛玄。私の臣下の司馬孚、司馬朗、諸葛亮、鳳統も」
私はこの婚礼の機会に諸葛玄と朱里を会わせてあげようと思いました。
雛里にも約束していたので彼女も呼びましょう。
「諸葛玄、諸葛亮、鳳統? それは誰です」
袁逢殿はよくわからないといった表情をしていた。
「私の配下に美羽の臣下の親類がいるのです。それで、できればこの度の婚礼の場で会わせてやりたいと思いまして。ご迷惑でなければお願いできませんか」
「ハハハハハハ、そういうことなら構いませんぞ! 婿殿は家臣想いですな。直ぐにでも早馬を出しましょう。冀州は遠いので、婿殿の臣下には申し訳ないが夜通し馬で掛けないと婚礼当日に間に会わないでしょう。美羽と司馬姉妹は心配なさらずとも呼んでいます」
「正宗、お前は本当に優しいの。儂はお前のことが誇らしいぞ」
本音は臣下全員を呼びたいところですが、冀州を留守にするのは流石に問題があります。
彩音は今、常山郡大守ですが、彼女のことなので留守の間の代理は抜かりないでしょう。
気づいたのですが外征組と内政組の人材確保が急務です。
今回は婚礼だったので、支障がそれほどないですが、人材が足りない気づかされました。
婚礼に諸葛玄と朱里を呼ぶので、朱里を通して諸葛瑾、諸葛誕に声を掛けてもらいましょう。
揚羽には司馬八達で私の元に仕えてくれそうな人物を呼んでもらいましょう。
「正宗、忘れるところじゃった。清河王に奉じられたそうじゃな。大出世ではないか? おめでとう」
お爺々様は好々爺然とした表情で言いました。
「婿殿、私からもお祝いを申し上げる」
袁逢殿は微笑んで言いました。
「袁逢殿、お爺々様、ありがとうございます。婚礼が終わりましたら、お二方には清河国にて余生を過ごしてほしいのですが」
私は反董卓連合時のことを考え、この2人には私の封地である清河国に住んでもらいたいと思いました。
姉上はもう少しすればエン州刺史になるので心配ないでしょう。
「婿殿は孝行者ですな。私にまで声を掛けてくれるとは」
「正宗、儂は構わぬぞ。のんびりと過ごすのも一興じゃ。袁逢殿もいかがじゃな」
「そうですな。儂もそろそろ引退の頃合いですし、良い機会です。陛下にお伺いを立ててみますな。婿殿、悪いが半年位後に清河国に厄介することにする。劉本殿と囲碁三昧の日々を送れるとは本当に楽しみですな」
「袁逢殿、儂も楽しみしているぞ」
袁逢殿とお爺々様は意気投合して、2人でまた談笑を始めました。
「正宗様」
揚羽は私の服の袖をクイ、クイと引っぱりました。
「なんだい、揚羽?」
「正宗様は私との婚礼は嬉しいですか?」
揚羽は凄く真面目な表情で聞いてきました。
「薮から棒に何だい? 嬉しい決まっているだろ」
私は揚羽に優しく微笑みました。
「私は正宗様に士官を条件に婚姻を無理強いしたので、私のことをあまり好きではないのかなと・・・・・・」
揚羽は物憂げな表情に呟いた。
「馬鹿だな・・・・・・。揚羽は私の心の支えだと思っているよ。そんなお前を嫌いなわけないだろ」
私は揚羽を抱き寄せました。
「正宗様・・・・・・」
揚羽は私の腰に手を回してきました。
「おいおい、人の居る前に乳くり合うのは寄してくれ。見ている儂等まで恥ずかしいじゃろ」
「本当に若いとは良いですな。婿殿は出征前に兵士達の前で麗羽と口づけをしていたそうですぞ」
袁逢殿とお爺々様は微笑みながら言いました。
「はは・・・・・・」
私がバツを悪そうにしてると、揚羽は恥ずかしそうに私の後ろに隠れました。
前世では結婚していなので、結婚までの段取りを知りませんが、この時代の結婚式は随分と面倒ですね。
段取りのほとんどは代理人を介してやるとは・・・・・・。
袁逢殿、司馬防殿、お爺々様達で段取りはほぼ消化して、残すは親迎のみです。
親迎は私が新婦の家に新婦を迎えに行き、私の家に新婦を連れて帰ってくるというものです。
結婚式はその後です。
それにしても感慨深いです。
麗羽と出会ってから、目紛しく年月が経過した気がします。
そして、麗羽と揚羽と結婚をすることになるとは・・・・・・。
前世では結婚をしていないので、良くわからないのですが、夫婦になれば・・・・・・。
ハハハハ・・・・・・、なんとかなるでしょう。
「正宗様、何をお考えになっているのです?」
揚羽が声を掛けてきました。
「私は麗羽と揚羽の夫になるのだなと思って・・・・・・。まだ、あまり実感が湧かなくて」
「私もです」
揚羽はクスッ、と笑いました。
その後、揚羽は婚礼まで実家で過ごすと言い、実家に帰って行きました。
私はそのときに揚羽の姉妹で私に士官してくれそうな人物がいたら誘ってくれないかと言いました。
揚羽は私をジト目で見て、「こんなときまで、政務のことをお考えなのですか?」と、愚痴を言い、溜息をついていました。
それでも、揚羽は「惚れた者の弱みですね」と、悪戯っぽく笑って、この私の頼みを受けてくれました。
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