真・恋姫†無双 劉ヨウ伝
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第8話 未来の覇王 中編
前書き
ちょっと変な部分があったので修正しました。
山陽郡を出立した私達一行は、東郡を経由して現在陳留郡に入りました。
洛陽まであと少しです。
この旅路ももう直ぐ終わります。
この地で曹操と出会う可能性があるかもしれないです。
曹操というと「乱世の奸雄」で有名な人です。
史実では、幼少時代の曹操はかなりの不良だったといいます。
恋姫の曹操がそうだったかはわかないですが・・・。
曹操で思い出したのですが、私の姉劉岱は将来、兌州刺史になると思います。
その後、黄巾の乱が勃発し、青州の黄巾軍が兌州に侵攻してきて、姉は討ち死にし、曹操は姉上の後任として、兌州刺史になるはずです。
この出世が曹操にとって、飛躍の第一歩だったと思います。
どうしたものでしょう。
母上の時もそうでしたが、姉上も見捨てることなどできません。
そうなると姉上に助力して、黄巾軍を討伐しないといけないです。
姉上が討ち死にした最大の理由は、家臣の進言を無視して篭城策をとらなかったことにあります。
ありえますね姉上は父ににて文官そのものです。
そのくせ少々、勝気なところがあります。
姉上に篭城を促すだけで、姉上の生き残る確立はかなり上がると思います。
問題は青州の黄巾賊です。
確か100万人だったと思います。
・・・・・・。
いくら私がチートといっても、100万人はきついです。
多分、孫策に敗れる前に、黄巾賊に敗れると思います。
ですが、曹操は兌州刺史になった後、黄巾賊を打ち破ったわけですから、不可能ではないと思います。
う―――ん、妙案が浮かびません。
この件は洛陽に着いてから考えようと思います。
ただ、姉上に黄巾賊を打ち破らせたら、曹操の出世の道を潰すことになります。
そうなると歴史が変わり、私の知っている歴史と齟齬が出てくると思います。
私のアドバンテージの一つが失われるわけです。
・・・・・・。
姉上の命には代えられないです。
それに曹操なら、遅かれ早かれ出世すると思います。
「正宗、何を考えているのじゃ。そのように難しい顔などしおって」
私が物思いに耽っているのが気になったのかお爺々様が声を掛けてきました。
「洛陽に着いたら何をしようかなと考えていました」
「そうなのか?その割には随分、難しい顔をしておったのう、儂はてっきり悩みごとでもあるのかと思ったぞ」
「お爺々様、そのようなことはないです」
「そうか、まあ、それならよい。何か悩みがあるなら、遠慮なく相談をするのじゃぞ、よいな」
お爺々様は私の応えを信じていないようです。
「はい、悩みがあればそうします」
私は元気良く返事をしました。
「それは本当のことなのかしら」
「山陽の麒麟児」について、秋蘭に調べさせていたのだけど、やっとわかったわ。
「はい、華琳様。山陽の麒麟児の名前は劉ヨウと言います。山陽太守の長男で、あの三公を4度勤められた劉寵の甥に当たります」
彼は山陽太守の長男らしいわ。
太守の息子が「山陽の麒麟児」とは正直驚いたわね。
それも男だなんて。
この女尊男卑の世で考えられないことね。
余計に興味が湧いてきたじゃない。
何としても「山陽の麒麟児」に会いたくなったわ。
「斉の孝王劉将閭の末子にして、牟平共侯劉渫の直系の末孫。清流派の名門一族の子弟というわけね」
確か彼の父劉輿も人物に定評があるし、祖父劉本も県令を勤めた人物と聞いたことがあるわ。
私の祖父曹騰は宦官で、母曹嵩はその養子。
私は清流派の者達から卑しき宦官の孫だと嘲笑されている。
母上も乞食同然分際で宦官の養子となり、金に物を言わせて官職を手に入れた成り上がり者などと陰口を立てられているわ。
そんな私とは正反対の立ち位置にいる人物。
「ふふっ・・・。面白いわね」
そんな人物が私をどう思うかしら。
私を嘲笑した清流派の者達と同じように、私を卑しき宦官の孫と嘲笑するかしらね。
私は劉ヨウという人物に対しての興味を更に強めていた。
「それで華琳様。耳寄りの情報です。その劉ヨウがこの陳留に入っているそうです」
「秋蘭っ!それを早く言いなさい。それで劉ヨウは何処にいるのかしら」
「洛陽に向かっているとのことですので、この街を通るかと思われます」
「秋蘭、劉ヨウがこの街に入ったら留め置き直ぐ知らせなさい。それと丁重にお持て成ししなさい」
「はっ! お任せください。華琳様」
「お待ちください。もしや山陽太守劉輿のご子息様ではございませんでしょうか?」
陳留郡に入ってしばらくして、街が見えてきたので、宿を探していると水色の髪で、片目を隠した女の子に呼び止められました。
何処かで見たことがある顔だなと思いました。
「「何者だ!」」
護衛の兵士達が、警戒して私と少女の間に立って訝しんで言いました。
「私、曹操に仕えし夏候淵と申す者にございます。主に仰せつかって、劉ヨウ様を丁重にお持て成しするようにと仰せつかっております」
知っている顔だなと思ったら、若いですが明らかに夏候淵です。
この子があのクールビューティーに成長するのですね。
私は感慨深く夏候淵を見ていました。
「曹操?もしやあの曹騰殿の孫か?」
「はい、その通りでございます」
「折角の招待痛みいるが、儂等は先を急ぐ故、曹操殿にはまたの機会にお呼びくだされと伝えてくれぬか」
お爺々様は夏候淵の誘いを断るようです。
いつもの好々爺然とした顔とは違い厳しい顔つきです。
宿を探していたのに先を急ぐって、今夜、野宿でもする気ですか?
嫌ですよ私は、地面で寝るのは辛いんですよ。
どうせ曹操が濁流派の人間だから、彼女の誘いを受けるのに抵抗があるのでしょうけど。
彼女の祖父が宦官なのものでしょうね。
「先を急がれていることは重々承知しております。その上でお願いできませんでしょうか?」
なおも食い下がってくる夏候淵。
粘りますねそこまでした私達を招待したい訳はなんなんでしょうね。
あのレズロリ覇王様が男に興味を抱くなんて変ですね。
そういえば、恋姫の魏ルートでは北郷一刀と恋仲になってましたね。
会ったこともない私に恋してるとかでしょうか?
そんな電波系少女でしたっけ曹操って・・・。
そもそも私に恋している自体ないと思います。
想像しましたがイメージが沸きませんね。
違和感あります。
「くどい!人が下手に出ておればいい気になりおって、これだから宦官の孫などと関わりたくないのだ」
私が妄想から戻ってくると、お爺々様が激怒していました。
流石に、いつも冷静な夏候淵も気分を害しているようでした。
それでも直ぐにそれを表に現れないようする当たり優秀な人ですね。
そこまで会いたいなら会ってやろうじゃないですか。
ここは私が助け舟を出すことにしましょう。
「お爺々様、折角の誘いなのですから、受ければよろしいではないですか」
「正宗、口出しするでない。お前はこやつの主がどのような奴かわかっておらぬのだ」
私の話など聴く気もないみたいです。
「それは宦官の孫だからですか?それとも曹操殿の親である曹嵩殿が金で官位を買ったと言われているからでしょうか?それと曹操殿とどう関係があるというのでしょうか」
「全てに決まっておるに決まっているであろう!このような輩と関われば、私やお前の父だけでなく、お前まで要らぬ誹りを受けることになるのだぞ!」
「言いたいやつには、言わせて置けばいいではないですか?」
「お前は何も判っておらぬからそのようなことが言えるのだ!」
まあ、通儒とまで言われたお爺々様にとっては、曹操は最低最悪の存在だと思います。
「まあまあ、お爺々様が行きたくないのなら、私だけ曹操殿の招待を受けます。お爺々様は先を急ぐなり、宿を取るなりしてください。じゃあ、案内をお願いできますか。夏候淵殿」
こうすればお爺々様は不満があっても着いてくると思います。
私も曹操には興味がありましたし、曹魏を築く傑物と友誼を結ぶことは、将来役に立つはずです。
孫策と対立することになる私には、保険にもなります。
劉ヨウ様と彼の祖父らしき方が言い争いを初めた。
「お爺々様」と呼んでしたので、この老人が劉本だろう。
華琳様の命で劉ヨウを招待しようとしたのだが、劉本が丁重に断ってきた。
このことは予想がついていた。
それでも敢えて華琳様は劉ヨウを招待しようとしたのだから、私も簡単に引くわけにいかなかった。
私のことをしつこいと思ったのか劉本は、本音を吐露してきた。
「宦官の孫」幾度となく聞いてきたが、いつ耳にしても腹立たしかった。
華琳様が何故そのように侮蔑されなければならない。
怒りが少し顔に現れてしまったが、直ぐに、私はいつもように冷静さを装った。
そんなとき劉ヨウが前に進みでて、劉本を嗜めてきた。
しばらく言い合っていたが、劉ヨウは埒があかないと思ったのか私を見て、止める劉本を無視して、劉ヨウは私に案内を頼むと言ってきた。
「はっ!こちらでございます」
私は諦めようとしていたので、突然の劉ヨウの行動に驚いてしまった。
私が夏候淵と一緒に曹操の屋敷に向かうと、お爺々様と護衛の兵は悩んだ末に、私達について来ました。
お爺々様は不機嫌です。
後で、フォローしないといけないですね。
「ところで曹操殿はどういった方です?」
私は夏候淵に曹操のことを聞きました。
レズロリ覇王様であることを知っているのですが、私の認識と同じか確認のためです。
「曹操様は美しく聡明な方だと思います。」
「ほぅ―――。それは楽しみです」
成長した曹操はチビですが美少女でしたから、美しいというより、かわいいが正確な気がします。
あれでSじゃなければ、文句なしなのですが・・・・。
曹操の前で「チビ」という言葉は禁句でしたね。
気をつけないと首を鎌で切り落とされます。
「私は趣味がないのですが、曹操殿のご趣味は何でしょうか?」
「そうですね料理や読書、武術、馬術なんにでも興味を持たれる方です」
夏候淵は自慢げに曹操のことを話していました。
多趣味ぶりは流石、曹操だと思いました。
私、趣味がないです。
お爺々と都督のジジのせいで・・・。
「劉ヨウ様は武勇に優れておられるとお聞きおよんでおります。また、山陽郡にて、山陽の麒麟児と称されていることも」
ふぅ―――ん、ピーンときました。
私を呼んだのはそういう理由ですね。
将来、人材マニアとなる曹操です。
「山陽の麒麟児」と呼ばれる私に興味を持ったのしょうね。
なんとなく納得できました。
「私にとってその通り名は恥ずかしいのであまり言わないでいただけませんか」
「何故でしょうか。劉ヨウ様の才覚を民が讃えているのですから、喜ばしいことと思いますが」
夏候淵は不思議そうな顔で聞いてきていますが、この人の場合、私の人となりを推し測っているんでしょうね。
おーーー、怖い。
「別に讃えられるためにやったのではないです。私のためにやっただけです。結果的にそれが民の為になっただけですよ」
私は自重気味に話した。
私のためにやったのは事実ですから。
「傲慢過ぎるのは問題でしょうが、謙虚過ぎるのも嫌みに聞こえ人に要らぬ不評を買うと思います」
夏候淵は私が謙遜していると思っているようです。
「ははっ、手厳しいですね。そうですねご忠告ありがとうございます」
「あっ!いえ、つい出過ぎたことを申し上げました」
「いいのですよ。置きになさらずに」
私と夏候淵は少し打ち解けれた気がしました。
お爺々様は相変わらず不機嫌でした。
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