万華鏡
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第十三話 テストの結果その二
「いつも先生に数学は駄目って言われてきたわ」
「文字通りだったのね」
「そう、実際によくなかったのよね」
「というか2にならなかったのが不思議よ」
「私もそう思うわ」
「私もよ」
クラスメイト達はやや呆れた顔になって琴乃に言う。
「というか琴乃ちゃんって一夜漬け派だったのよね」
「それで3で済んだって」
「よかったじゃない」
「ううん、受験でもね」
この八条学園高等部への受験であることは言うまでもない。
「数学は結構ね」
「まずかったのね」
「そうだったのね」
「過去の入試の問題集五年分やってね」
それでだというのだ。
「何か覚えた感じになって」
「まあ受験の入試問題集五年分をやればね」
クラスメイトの一人がそれをやればと言う。
「結構違うからね」
「うん、理科も物理の問題はともかく」
これは駄目だったにしてもだというのだ。
「生物とか化学はね」
「覚えるだけだからね、どっちも」
「それでだったのね」
「うん、何とかなったし」
「それで数学も?」
「大体覚えたの」
「その問題集三回したのよ」
一回ではなくそれだけしたというのだ。
「お母さんが入試問題集はとにかく何度もしろって言ってね」
「それでなのね」
「うん、三回したら」
「数学も大体覚えて」
「それでいけたの」
合格できたというのだ。
「点数はわからないけれどね」
「というか琴乃ちゃんって完璧に文系よね」
「そうよね」
クラスメイト達は琴乃の話を聞いて彼女をそれだと判断した。
「覚えることは得意みたいだし」
「それだったらね」
「あっ、英語とか社会は得意よ」
その暗記科目である。
「あと国語もね」
「うん、完璧に文系ね」
「どう考えても」
「正直数学って辛いのよ」
こうまで言う琴乃だった。実際にその顔はそうした感じになっている。
「何かね。今まで勉強の仕方がわからなくて」
「だから。とにかく公式を覚えるの」
さっきから公式を言うクラスメイトがまた言った。
「そうすればいいから」
「それで赤点じゃなくなるの?」
「まあ大丈夫よ。けれど琴乃ちゃんって」
「何?今度は」
「あまり理系の学部には進まない方がいいかもね」
進学の話をするのだった。
「というか受験もね」
「それ自体がなのね」
「うん、しない方がいいわ」
こう言うのだった。
「絶対に向いてないから」
「うん、自分でもそう思うわ」
「文系でいくべきね」
「英語好きだし英語学科にしようかしら」
「いいんじゃない?」
このクラスメイトも琴乃の今の言葉に反対しなかった。むしろ賛成の考えを見せた。
「八条大学って英文学科もあるし」
「だからなのね」
「もっと言えばアメリカ文学科もあるから」
「イギリスとアメリカで分かれてるのね」
「何か言葉が違ってきてるらしいのよ」
「同じ英語じゃないの?」
「方言みたいな感じで違ってきているのよ」
アメリカもイギリスから独立して二百年以上経っている、独自の文化を育んできており言葉も違ってきているのだ。
ページ上へ戻る