万華鏡
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第十二話 来てくれた人その三
「真言宗、天台宗ともだから」
「空海さんに最澄さんか」
「そう、密教は漫画にもよく出るけれど」
景子はそうした話題もした。
「そっちのお寺にも行くことあるわよ」
「あれだよな。不動明王とかの印組むんだよな」
「そうそう、本当にそうするから」
「冗談抜きで漫画みたいだよな」
「私もそう思うわ。実際にそうだってね」
「術は使えないよな」
美優は踏み込んでそんな話もした。
「幾ら何でも」
「流石にそれはないけれどね」
「やっぱりそうか」
「そうなの。まあそういうことでね」
景子はここまで話をしてそうして述べた。
「流鏑馬、誰か来てくれれば」
「本当にいいわよね」
里香はパソコンの画面を観ながら後ろの景子の言葉に答える。、
「若しそうなったらね」
「そうよね。後はね」
「二人でやれたらいいか」
「そう思ってるの。大学とかにもビラを貼って」
このことも忘れない。
「どんどん宣伝しないとね」
「八条大学って弓道部と乗馬部もあるからね」
琴乃は明るい顔でこの二つの部を話に出した。
「それじゃあね」
「きっとね」
「うん、来てくれるよ」
「そうなってくれたら本当にいいわ」
景子は琴乃の話を受けて素直に望みを話した。
「願ってるから」
「そうよね」
「本当に外国の人でもね」
モンゴルに限らずだというのだ。
「構わないからね」
「キリスト教徒でもなのね」
「そう、構わないからね」
こう言うのだった。
「誰か来て欲しいわね」
「宣伝してそうして」
「後はどうなるかね」
琴乃だけでなく里香も言う。そうした話をしているうちに。
時間は中間テスト前になった、琴乃は部活の後の帰り道で困った顔で両手を後ろにやってそのうえでこう言うのだった。
「やれやれよね」
「テストのこと?」
「そうそう、困るのよね」
こう言うのである。
「また一夜漬けよ
「一夜漬けって」
琴乃の横にいる里香は彼女の言葉に呆れた顔になって言った。
「そういうのよくないわよ」
「そうなの?」
「だって。勉強は毎日コツコツやってこそじゃない」
「えっ、里香ちゃんっていつもそうしてるの!?」
「いつもって。普通じゃないの?」
「勉強って一夜漬けが基本じゃない」
琴乃はこう言う。
「それで終わらせてじゃない」
「ひょっとして琴乃ちゃん普段は」
「勉強?しないわよ」
琴乃は平然として里香に答える。
「いつもね」
「テスト前以外はなの」
「そう、しないものじゃないの?」
「するものよ。けれど琴乃ちゃんって」
成績はそれ程悪くはない、琴乃は所謂成績の悪い娘ではないのだ。
「実力テストでも」
「一度覚えたら忘れない方だから」
「大丈夫なの」
「うん、そうだけれど」
「それでもね」
里香は難しい顔で琴乃に言う。
ページ上へ戻る