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万華鏡

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第十一話 流鏑馬その三


「本当に誰か来てくれるかも知れないから」
「知れない、なのね」
「まあ。宣伝したら来る可能性はゼロではなくなるから」
 宣伝しなくては来るものも来ない、そういうことだった。
「やってみてね。それにしても流鏑馬って」
「知ってるわよね、里香ちゃんも」
「見てそうかしらって思ってたけれどやっぱり難しいのね」
 里香が今度言うのはこのことだった。
「そうなのね」
「そうなのよ。だから一手の確保が大変で」
「出来れば二人欲しいのね」
「そう。いてくれたらいいけれどね」 
 景子の言葉は切実な感じのままだった。
「まあとにかく宣伝ね」
「うん、よかったら私もね」
「里香ちゃんも?」
「手伝わせてね」
「勿論よ。というかこれからも作戦の提案お願いね」
「それって何か参謀みたいね」
「そうね。里香ちゃんってそんな感じよね」
 景子は笑って里香に話す。
「参謀タイプね」
「そうみたいね、何かね」
「自分ではそのことに気付かないのね」
「ううん、こうして皆とお話することってね」
 それ自体がだというのだ。
「なかったからね」
「それでなの」
「参謀とか軍師とかって考えたことなかったの」
 そうだったというのだ。
「本当にね」
「そういえば里香ちゃんって中学校の時までは」
「あまりお友達がいなかったから」
 このことをここでも話したのだった。
「お話することもなかったし」
「それでだったのね」
「けれど。今は皆がいるから」
 プラネッツの彼女達がいるからだった。
「こうして参謀になれたのね」
「そうね。里香ちゃんが参謀で」 
 景子は今度は美優を見て言う。
「美優ちゃんがリーダーね」
「あたしリーダーだったんだな」
「だっていつも皆をまとめてるじゃない」
 だから美優がリーダーだというのだ。
「美優ちゃんしかいないわよ、私達のリーダー」
「だといいけれどな」
「それで琴乃ちゃんがムードメーカーで」 
 次は琴乃を見る。
「彩夏ちゃんはお色気担当かしら」
「私それなのね」
「だって胸大きいし何か私達の中で一番そんな感じだから」
 彩夏にはそうした独特の雰囲気があるというのだ。
「それでだけれど」
「ううん、私何か微妙な感じね」
「そう?」
「うん、それ言ったら景子ちゃんはサブリーダーよね」
 彼女はそうなるというのだ。
「いつも皆のフォローしてくれるから」
「えっ、そうかしら」
「落ち着いて状況見て静かにそうしてくれるじゃない」
「私は別に」
 今度は自分が気付かない立場だということは気付かないのだった。
「フォローとかは」
「してるのよ。確かにね」
「そうなの」
「そう。けれどやっぱり私って」
 彩夏は苦笑いになって言う。
「お色気?」
「駄目?」
「何かね」
 その苦笑いでの言葉だった。 
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