万華鏡
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プレリュードその十四
そう言ってだ。そのうえでだった。美優はあらためてこの楽器のことを話したのである。
「むしろギターもう一つとかさ。そっちの方がいいかもな」
「じゃああれね」
琴乃は美優のこれまでの話を聞いてこう述べた。
「ギターは二つでベースに」
「で、あたりと里香ちゃんでな」
「ドラムとキーボードね」
「琴乃ちゃんはギターのうちの一つな」
「この編成でいくのね」
「で、ヴォーカルはな」
肝心のだ。それはというと。
「メインヴォーカルはとりあえず。誰がいいかだよな」
「それは少し考えてみない?」
里香が美優に言ってきた。
「もう少しね」
「ここで決めずにかよ」
「うん。やっぱりヴォーカルが一番肝心じゃない」
「それはその通りだよな」
歌だ。バンドの華はやはり歌だ。それならばだった。
「チェッカーズもBOOWYもあそこまで凄くなったのはな」
「X−JAPANもよね」
「ああ、ヴォーカルがよかったからだからな」
それ故にだというのだ。
「それでだからな」
「それじゃあもっとじっくりと話してね」
それで決めようとだ。里香は美優と琴乃に話した。
「そうしましょう」
「よし、それじゃあな」
「まずは放課後の集合ね」
二人は里香の言葉に頷く。そのうえで自分達のクラスに入ろうとする。しかしだった。
その三人のところにだ。前に誰かが来た。それはというと。
髪はストレートの黒であり見事なものだ。
細面に白い顔、顎はすっきりとしていて先が短い感じだ。目はやや横に切れ長ではっきりとした感じだ。唇は横に大きめで紅だ。全体的に冷静で知的な感じだ。
制服はダークグレーの上着とスカートでありソックスは黒だ。前の右のところで止めている感じの少し気取った感じのデザインの制服だ。その制服の彼女が言ってきたのだ。
「あんた達も軽音楽部に入ったのね」
「あれっ、あんた誰だ?」
「火神景子っていうの」
少女は微笑んで三人に名乗ってきた。背丈は琴乃や里香と同じ位だ。
その彼女がだ。落ち着いた感じで言ってきたのである。
「よろしくね」
「ひょっとしてあんたもかよ」
美優がその景子に対して言った。
「軽音楽部に入ったんだな」
「ええ。ただね」
「ただ?何だよ」
「私は今一人だから」
こうだ。三人に対して言ったのである。
「私もメンバー探してたのよ」
「何だよ、一人なのかよ」
「残念だけれどそうなのよ」
表情はそのままだがこう言ったのだった。
「私はね。そうなのよ」
「じゃあよかったらな」
「それを言いにきたのよ。私はギターだけれど」
「ああ、ギター実はな」
美優が景子とやり取りをする。何故か馬が合う感じでだ。
「もう一人欲しいかなってな」
「思ってたのね」
「そうなんだよ。さっき話してたけれどな」
「そうよね。私もそれ聞いたからね」
三人だ。声をかけたというのだ。
「本当によかったらだけれど」
「どうする?」
美優は景子の申し出を聞いてからだ。そのうえでだ。
琴乃と里香、やはり彼女の左右にいる二人に顔を向けてだ。そして問うたのだった。
「この娘とも一緒にな」
「そうね。それじゃあね」
「いいと思うわ」
二人もだ。美優のその問いにすぐに答えた。
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