八条学園怪異譚
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第十六話 柴犬その一
第十六話 柴犬
衣替えになった。愛実は自分の白いブラウスを見ながら聖花に対して眉を曲げてこんなことを言っていた。
「私夏の制服苦手なのよ」
「あっ、透けるからよね」
「そう。ブラが透けるから」
こう二人の教室で話している。
「だから好きじゃないのよ」
「だったら白いブラウスよりもね」
「青とかピンクの方がいいっていうのね」
「ええ、そっちの方がよかったんじゃ」
「けれどね」
それでもだと返す愛実だった。今度は複雑な感じの顔になっている。
「白いブラウスって熱反射するから」
「熱くないっていうのね」
「白は熱をはね返して黒は熱を吸うのよ」
「だからなのね」
「そう。白にしてるけれど」
だがそれだとだというのだ。
「ブラがね」
「確かに。何か愛実ちゃんの今のブラウスって」
聖花も今の愛実の上半身を見て言う。
「透けて見えそうよ」
「でしょ?実際に」
「ええ。愛実ちゃん今のブラの色は」
「白よ」
その色だというのだ。
「それだけれど」
「白なのね」
「内緒だけれど」
顔が囁く感じになり声も小さくなる。
「下もだから」
「上下揃えたのね」
「それは基本よね」
「まあそれはね」
このことは聖花もそうだと答える。
「私もだし」
「聖花ちゃんの今のブラウスは青だけれど」
ライトブルーである。
「そっちの方が透けないわよね」
「白よりはね」
「それいいわよね。けれどね」
「白好きよね、愛実ちゃん」
「そうなの。だから今着てるけれど」
「透ける心配はあるわね」
このことがどうしても問題だった。
「白はね」
「今日だけにして明日からは青とかピンクにしようかしら」
「ピンクがいいんじゃない?」
聖花は愛実の雰囲気からこの色はどうかと提案した。
「そっちはどう?」
「そうね。ピンクいいわね」
実は愛実もピンクが好きだ。白だけでなくこの色も好きなのだ。
「それじゃあね」
「いいと思うけれどね。私も」
「ええ。とにかく透けないことが大事だから」
「見せてもいいとかいう考えは?」
「ないから」
そうした考えは愛実にはない。見せブラというものが理解できないのだ。尚これは聖花も同じである。二人にはそうした発想はない。
「そういうのはね」
「まあ私もだけれどね」
「見せるものじゃないでしょ」
愛実は眉を顰めさせて聖花に返した。
「ブラなんて」
「それはね」
「特に下はね」
ショーツはさらにだった。
「絶対に見せたくないから」
「ガード大事よね」
「流石に半ズボンはくことはしないけれど」
体操服だ。愛実は半ズボンの他にスパッツも持っている。
「それでも見せたくないから」
「愛実ちゃんそういうところ心配性よね」
「そういう聖花ちゃんだって見せたくないでしょ」
「それはそうだけれど」
「それでもこの暑い時期にスカートの下に半ズボンとか嫌でしょ」
「むれるのはちょっとね」
話は女の子同士だから言えるものになっていた。
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