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八条学園怪異譚

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第十四話 茶道部の部室でその一


            第十四話  茶道部の部室で
 愛実と聖花はまたクラスで向かい合って座って話をしていた。愛実が聖花のところに机を持って来ての話だった。
 愛実はこう聖花に言った。
「ねえ、この前の模型さん達とのお話だけれど」
「どうしたの?」
「うん、茶道部の話があったけれど」
「茶道部?あの茶室の?」
「そう、茶道部の部室にも出るって言ってたけれど」
「あっ、そうだったわね」 
 聖花も言われて気付いた。
「何か言ってたわね」
「あそこにも出るのね」
「というか茶道部に妖怪っていうのも」
「ちょっと違和感ある?」
「夜かしら」
 首を傾げさせて言う聖花だった。
「ひょっとして」
「いつも夜に出るけれどね」
「夜の茶道部の部室も結構迫力ありそうだし」
 聖花はそのイメージから言う。首を少し傾げさせてそのうえでの言葉だった。
「だったら」
「あるわよね」
「ひょっとしたらね。ただ」
「ただって?」
「また調べよう」 
 聖花はこう愛実に言った。
「それか博士に聞くか」
「茶道部のことね」
「そう、どっちかにしましょう」
「そうね。じゃあね」
 愛実も聖花の言葉に頷く。そしてさらに言うのだった。
「それに博士に泉のことでも聞きたいし」
「それもあったわね」
「どっちにしても博士のところに行かないとね」
「そうね。とにかく謎だらけの博士だけれど」
「あの博士自身も序段抜きで妖怪だったりしてね」
「それ絶対にそうじゃないの?」
 聖花は最近本気で博士が妖怪化しているのではないかと考えだしていた、何しろ年齢が全くわからないからである。
「それか仙人か」
「仙人でも不思議じゃないしね、確かに」
「選任と妖怪は違うわよね」
「まあ違うわよね」
 二人はこの区分も曖昧な感じになってきていた。
「人間ではあってもね」
「そうよね、多分だけれど」
「まあとにかくね」
「博士のところに行って色々と聞いて」 
 こうした話をしてそのうえでだった。二人はその昼休みに博士の研究室に行き茶道部のことと泉のことを聞いた。まずは泉だった。 
 泉のことについては博士はまずこう答えた。
「あることはわかったぞ」
「あっ、あるんですか」
「この学園の中に」
「うむ、ある」
 博士はこう二人に断言した。研究室の中では相変わらず妖怪達がたむろしていて菓子だの茶だの酒だのつまみだのを口にしている。博士自身も栗饅頭をぱくぱくとしながらそのうえで二人にその栗饅頭を勧めながら言う。
「一昨日この大学の歴史を調べていたらじゃ」
「出て来たんですか、資料が」
「それが」
「うむ、そうじゃ」
 まさにその通りだというのだ。
「とはいっても正史ではない?」
「正史?」
 愛実は博士の今の言葉に目をしばたかせた。
「何ですか、それ」
「正式な資料として認められてた歴史じゃ」
「正式にですか」
「例えば中国の歴史書じゃ」
 博士は自分の専門分野の一つから例えて話した。 
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