八条学園怪異譚
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第十二話 首なし馬その十五
「あります」
「落書きもまた然りだ」
「危険なんですね」
「あれは毒になる」
「毒ですか」
「そうだ、心を蝕む毒になる」
そうなると。夜行さんは聖花と愛実に話す。
「最近ではインターネットでもだ」
「あれっ、妖怪もネットするんですか?」
「するのだ」
夜行さんは今度は愛実に対して答えた。その間も学園の中を回る、見れば夜行さんも愛実達も普通に学園の壁を通り抜けているがこれは馬や夜行さんの妖力、二人の乗る自転車の魔術からのものであろうか。
「それで見るがだ」
「ネットの書き込みって確かに」
愛実もよく知っている。だからこそこう夜行さんに述べる。
「酷いのありますよね」
「中にはその対象を直接傷つけるものもあるな」
「はい、かなり」
「それが毒なのだ」
心を傷つけ蝕む、それだというのだ。
「ネットも然りなのだ」
「誹謗中傷の書き込みは、ですね」
「その相手の心を非常に傷つけてしまうものだ」
「最近よくそれを使ったいじめもあります」
「人として最低の行いの一つだ」
夜行さんは一言で言い捨てた。
「そうした行いはな」
「やっぱりそうですよね」
「してはならない。そうした毒はやがて己にも返る」
「書いた本人にもですか」
「必ず返る」
夜行さんは断言さえした。
「そして蝕む報いとなるのだ」
「何か怖いですね」
「呪いだ。文は呪いにもなる」
「呪いですか」
「呪文という言葉だ」
今度はこの言葉が出された。
「呪いは言葉からも発せられ」
「文字や文章からもですか」
「出されるものなのだ」
「ですか。じゃあ本当にこれからは」
「二人共気をつけてくれ」
夜行さんはまた二人に告げた。
「くれぐれもな」
「はい、わかりました」
「そのことは」
「わかってくれればいい。さて」
「さて?」
「さてっていいますと」
「もう暫く見回るが」
夜行さんはこの巡回の話もしてくる。
「どうするか」
「ええと」
夜行さんの問いにまずは愛実が考える顔になった。そのうえで隣を走る聖花に顔を向けて意見を求めた。
「どうする?」
「そうね。まだ時間も早いし」
聖花は自分の左手首を見た。そこにある腕時計で時間をチェックした。
八時だ。その時間を見てまずはこう言った。
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