インフィニット・ストラトス~黒き守護者~
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怒らせると怖いのは?
「はぁ~、疲れた………」
あのカオスな状態から抜け出してから、俺は整備室に篭っていた。
『それにしても酷いわね。今までの状態で動かすことは無理だわ』
「だな。あの強烈な熱線を浴びたんだ。耐久性が高いディアンルグでもさすがに耐えられないだろ」
とにかく、今はディアンルグを修復するのに専念するか。
「あ、ゆーゆー!」
俺が兄と判明したからか、いつの間にか俺のあだ名が変わっていた。
「どうした、本音?」
「ディアンルグの修復を手伝おうと思ったんだよ~」
「悪いな、今回はお開きだ。つっても後は細部だからな。俺がしないといけないところばかりなんだよ」
そう言うと少しショックを受けたのか項垂れていた。
『ともかく、早く夕食を食べましょうよ』
「そうだな」
俺たちが食堂に着くと、食堂のある一角が騒がしかった。
まぁ、無視して別の場所に座ろうとすると、
「―――あ、祐人! ちょうどよかった―――って、祐人!?」
モテハーレム野郎の織斑一夏がテンション高めに声をかけて驚いていた。
「何だ?」
「いや、この五人をどうにかしてくれると………」
そう言いながら一夏は視線をそっちに向ける。というか、
「珍しいな。簪が一夏と一緒にいるなんて」
「……うん。専用機持ち同士、話してた。……それに……趣味も合うから……」
そういえば、簪はアニメを見ていたからな。というかまだ見ていたのか。
「一夏、余計なことをすれば命はないからな」
「あ、ああ。わかってる」
顔を青くしながら頷く一夏を見て満足し、俺は例の五人に視線を向ける。
「………んで、何でお前らがそんなに怒っているんだ? そもそも一夏が誰と食事をしようがお前らが怒る権利は一切ないからな」
『まぁ、言っても無駄でしょうね。己を捨てずに本気で行かない臆病者は違う女と話しているだけで怒り狂う。いくら非常識とはいえ、眼帯銀髪の方がまだマトモね』
「ふふん。一夏は私の嫁だからな」
『その非常識さを正せば少しはマシになるわよ』
一夏がたまに漏らしていたけど、ボーデヴィッヒは夜這いをしたことがあるらしい。その度胸は認めるが、せめて付き合っている段階ですればいいと思うんだが。
「な、なによ! いきなり出てきてダメ出しってわけ?」
『ええ、そうよ。あなたたちがやっていることって理不尽すぎるからね。それと、麺伸びるわよ』
「う、うるさいわね!」
ちなみにだが、俺と本音は一夏と簪がいた丸テーブルに座って堂々と食事をしていた。
「それより祐人、お前起きてたんだな」
「ああ。昨日の夜中にな」
「聞けば強力な熱線を浴びたと言うではないか。よくそれで生きていたな。それと簪。できれば席を代わってくれないだろうか?」
「……ちょっと待って」
ボーデヴィッヒは開放されたのか、簪と席を入れ替えていた。向こうで何か言いたいみたいだが、それは見事に無視された。
「俺は運がいいからな」
「いや、あの攻撃は運程度でどうこうできるものじゃないって楯無さんが言っていたんだけど」
「……そういえば、お姉ちゃんは?」
「俺がディアンルグの修理をしている前は下着姿で気絶していたからベッドに運んで寝かせたけど」
何気なく言うと、全員から睨まれた。
「風宮、少しお前に話がある」
「ええ。そうですわね。あの方と同じ女として少々よろしいですかしら?」
「そうよね。ちょっと来なさい」
「風宮君。僕も話したいな」
各々が武器を展開してこちらに向ける。そのまま攻撃すると周りにも被害が及ぶってのに。
「そうか。これでやっと開放されたか………」
「……結婚式には、行くから……」
そしてドイツと日本の代表候補生の反応は違っていた。
「いや……その……祐人、お前凄いな」
『ここまで勘違いしていると逆に清々しいわね』
「だな。日頃からどれだけ頭が腐っているかよくわかる。というかボーデヴィッヒも簪もそっちの方向に受け取るな。逆に面倒だから」
俺がそう言うと、周りから「男のくせに」とかそういう罵倒が聞こえてきた。
「そういえば、お姉ちゃんは?」
本音が聞いてきたので、
「そういえば、いなかったな」
『途中からは楯無を放っておいてどこかに行ったわ。生徒会室かしら?』
「だろうな。あの人は真面目だし」
「あ~………それで、どうして楯無さんが下着姿で倒れていたんだ?」
妙に声を弾ませながら聞いてくるので少しムカついた。
「脱衣ダウトを―――」
途端に四人から武器を向けられる。ちなみにボーデヴィッヒからはよくやったと目で言われた。
「―――ほう。食堂でISを部分展開とはいい度胸だな」
さっきからしているが、織斑先生が現れた。
「織斑先生! これはセクハラ男への制裁です!」
「篠ノ之、だからと言ってISを展開していい理由はならないだろう。お前ら四人にはISを展開、PIC切ってグラウンドを10周してこい」
睨みに泣きそうになって四人はすぐにグラウンドに向かう。
「ところで風宮、更識姉と脱衣ダウトに興じたみたいなことを聞こえたんだが?」
「俺はしていないし誘ってもいませんのであしからず」
それで誰が誘ったのかわかったのか、本音は汗を流していた。
「それにどうやら今回は自業自得みたいでしたね。まぁ、日頃から仕事をサボっているので仕方がありませんが」
「………やはりな。布仏姉の機嫌がよかったのはそれが原因か」
「生徒会長は苦手ではないんですけど、スペックの違いですね。まぁ、彼女を怒らせたのが今回の生徒会長の原因でしょう」
この時、一夏とボーデヴィッヒが俺と織斑先生の会話について行けなかったみたいだが、簪と本音は納得していた。
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