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ヘタリア大帝国

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TURN54 ハワイの酋長その四

 その中の菊一文字を手にして言うのである。
「この刀ならあの程度の怪獣なぞ」
「造作もありませんか」
「私と外相がいれば」
「うむ、では二人で参ろうぞ」
「そうしましょう」 
 二人で海に入り今まさに砂浜まで上がり暴れようとする怪獣に向かおうとする。
 しかしそこに一人の大男が来て怪獣に向かい。
 海の中で闘いだした。そして一瞬で。
 怪獣をノックアウトした。これには日本も驚いた。
「何と、あれだけの怪獣を一瞬で」
「強いですぞ、それもかなり」
 宇垣も驚きを隠せない顔で言う。
「あの御仁は一体」
「あれは確か」
 山下も驚きを隠せない顔で怪獣を倒した男を見ている。
「このハワイの酋長ギガマクロです」
「ギガマクロ酋長。確か」
「はい、ガメリカに統治を譲った南洋の盟主です」
「そうだったな。あれがそのギガマクロ酋長か」
「噂では生身で銀河にも出られるとか」
「おい、そりゃ化け物だろ」
 田中は山下の今の言葉にこう突っ込む、
「生身でかよ」
「そうらしい」
「ハワイの酋長ってのはどんなのなんだよ」
「そこまでの怪物だからですね」
 驚く一同の中で小澤だけはいつも通り淡々としている。
「あれだけの怪獣を素手で殴り」
「倒せたのですね」
「そうだと思います」
 小澤は日本にも話す。
「とにかく凄い人がいるものですね」
「確かに。こちらに来られていますが」
 その怪獣を担いで海に向かってきている。深い筈の海を何なく立って泳いでいる。
 日本はそのギガマクロを見てこう言うのだった。
「一度お話してみましょうか」
「そうですな。ハワイの酋長ですしな」
 宇垣は外相として己の祖国の言葉に頷く。
「今から」
「はい、お会いしましょう」
 こうした話をしてだった。日本は自分から海にあがったギガマクロに声をかけた。
「あのギガマクロ酋長ですね」
「そういう貴殿は日本殿か」
「はい、宜しくお願いします」
 後ろに宇垣達を置いての応対である。
「それでなのですが」
「怪獣は退治した。安心してくれ」
 怪獣は砂浜に放り出される。確かに十メートル以上ある。
「泳げるようになったからな」
「いえ、それよりも」
「むっ、わしに用か」
「はい、お話をしたいのですか」
「日本殿が話をするとなると」
 ギガマクロも日本が何を話したいか大体わかった。そうしてだった。
 両者は東郷も呼んでそのうえで海辺での会談に入った。ギガマクロはその場で開口一番こう言ったのだった。
「わしはもう隠居じゃ」
「だからですか」
「お誘いの前に言っておく」
 こう日本にも言う。
「気ままに暮らしたいのでは」
「そうですか」
「そういうことじゃ」
 豪快な笑顔での言葉だった。
「ではよいな」
「そうですか。それでは」
「今ハワイの統治はアメリカさんから離れたな」
「日本の統治下になります」
「日本殿、さんでもよいか」
「はい、どうぞ」
 それはいいとする日本だった。このやり取りも入れて話をしていく。
「では日本さん」
「独立のことですが」
「それもいい。ハワイの国民もじゃ」
「ガメリカ領のままでいいですか」
「戦争の後でアメリカさんに返すじゃろ」
「その予定です」
 日本には領土的野心はない。このことはアメリカにも既に打診している。ただしまだこれといって返答はない。 
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