ヘタリア大帝国
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TURN54 ハワイの酋長その三
「いや、やはり褌が一番です」
「しかし。浮いていますが」
「そうでしょうか」
「ですからせめてです」
日本は困った顔で宇垣に言う。
「トランクスタイプのものに」
「いえいえ、日本男児たるもの」
「褌ですか」
「そうでなければなりませんぞ」
「祖国殿、やはりです」
山下もいる。抜群のスタイルが見事に出る競泳水着だ。黒をベースにして黄色と白の配色が鮮やかである。
その山下もこう日本に言う。
「宇垣殿はこれでよいかと」
「褌がですか」
「私も褌は日本男児の象徴だと思いますが」
「だからですか」
「はい、それに褌ならです」
山下は褌についてさらに話す。
「長いですから泳いでいても」
「それで大きく見えてですね」
「鮫よけにもなるではありませんか」
「よくそう言われていますね」
「はい、だからいいと思いますが」
「そうなりますか」
こう応えても日本は今一つ浮かない顔をしている。そのうえで傍らで準備体操をしている田中に顔を向けた。彼は黒のトランクスタイプだ。
その田中にこう声をかけたのである。
「田中さんはトランクスですね」
「俺は下着もこれだぜ」
「褌ではないですよね」
「いや、褌も嫌いじゃないさ」
「そうなのですか」
「やっぱり漢の下着だろ」
こう言うのである。しかも笑顔で。
「褌ってのはな」
「そうですか」
「ああ、それで祖国さんも昔はだろ」
「はい、褌でした」
「だったらいいじゃねえか」
「それはそうなのですが」
また宇垣の褌を見て言う日本だった。
「周りがトランクスやビキニの中でこれは」
「猥褻です」
黒のスクール水着姿の小澤も言う。
「褌の持つ猥褻さが出ています」
「わしが猥褻だというのか」
「やらないか」
小澤はこんな言葉も出す。
「くそみそテクニック」
「何か随分不吉な言葉だのう」
「もっと言えば布団を敷こう、な」
「それ位で止めて下さい」
日本は小澤の暴走をここで止めた。
「どんどん気持ち悪くなりますから」
「そうですか。では」
「しかし。外相があくまでそう言われるなら」
日本もそれで止めるというのだった。
「私からは何も」
「そう言って頂けますか」
「はい。では泳ぎますか」
「水練も重要な鍛錬ですからな」
「それでは」
こうして一同は泳ぐ為に海に入ろうとした。だが。
その海が急に騒がしくなった。見れば海に十メートルはある海蛇型の怪獣が出てきて暴れだしていた。かなり凶暴そうだ。
宇垣はその怪獣を見てすぐにこう言った。
「では私が成敗してきましょう」
「しかしあの大きさでは」
「何、かつてはより大きな怪獣を退治したことがあります」
意外と武道にも秀でているらしい。ただ口うるさいだけで提督にはなれない。
「ですから今から」
「私も行きましょう」
宇垣と同じく生真面目で災害を放置できぬ山下も出て来た。
「この菊一文字で一刀両断です」
「長官の今の刀はそれですか」
「はい、虎徹は実家に置いています」
「正宗もですね」
「祖国殿より授かった刀は全て大切に置いています」
日本は山下家の代々の将軍達に刀を授けてきている。その数はかなりのものになっており山下はその全てを大切に保管しているのだ。
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