インフィニット・ストラトス~IS学園に技術者を放り込んでみた~
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本編
第01話「始まりの夜」
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4月のとある晩。
ある施設の一室に複数の人間が集まり、大きくも小さくもない声で会話をしていた。
部屋の電気は点いてなく、代わりにいくつかの蝋燭に火がともり、何とかあたりが見える程度の明るさしかない。
??A
「それにしても遅いですね」
??B
「そうね、もう10分も過ぎているわ」
??C
「あの人のことだ。多分追手を振り切るのに手間取っているんじゃないか?」
1人は少し心配気味に、もう1人は少し怒り気味に、最後の1人は少々投げやりに言葉を続ける。
どうやらここにはいない誰かを待っているらしい。
このまま、無駄に時間が過ぎるのかとおもわれたその時、
[ギィ…]
この部屋唯一の扉が開き、白衣を纏った男性が部屋に入ってきた。
白衣の男
「すまない、少し遅れた」
??C
「遅いぞ~」
??B
「待ちくたびれたわ」
??A
「貴方が来ないと、始めるものも始められな立ったんですから」
白衣の男
「悪い悪い」
どうやら白衣の男がこのメンバーのリーダのようで、彼らはずっとこの人物がここに来るのを待ち続けていたらしい。
口々に文句を言いつつも、彼らの表情からは安堵が感じ取れる。
白衣の男
「それじゃ、全員そろってっるようだし始めますか」
白衣の男の言葉に、部屋にいた他の者たちも会話を止め、じっとに白衣の男へ視線を向ける。
彼らの眼は皆、子供の様なわくわくした瞳をし、白衣の男は彼らの視線を満足げに受け止め、大きく息を吸い込み。
白衣の男
「これよりオペレーション・ウルドの会議を始める!!」
声高らかに、会議開始の宣言を下した。
部下A
「…はい」
白衣の男
「なんだ部下A」
手を上げたのはショートヘアーの少女。
髪の色は部屋が暗い為判別しにくいが、黒か緑と言った暗色系の色だと思われる。
その少女――部下A――が白衣の男の許しを得て席を立つ。
部下A
「なんで北欧神話なんですか?」
白衣の男
「何となくだ。特に意味は無い」
軽く受け流した。
本当に会議名は特に意味は無い。
あるとしたら、何となく格好良いからである。
白衣の男
「次、部下B! 頼んでいたモノはどうした」
部下B
「はい」
ショートの少女が席に座ると今度は淡い金色のロングヘアーの女性が席を立った。
部下B
「昨日サーバーの方に侵入し明日の日程や警備体制を調べたわ。例の件のことで警戒度を上げてて、警備は例年よりも強化されるみたいね。これがその配置図とリストよ」
白衣の男
「さすがスーパーハカー」
部下B
「ハカーじゃなくてハッカー」
白衣の男
「それで部下C、先日の品はどうした」
部下B
(無視された…)
部下Cと呼ばれた男性が席を立ちあがる。
髪は橙色の短髪で身長は白衣の男と同じくくらいである。
部下C
「テストが終わって調整した後、他のメンバーと分担して仕掛けてきたぞ」
白衣の男
「第二、第三の仕掛けは?」
部下C
「既に設置済み」
白衣の男
「例のモノはどうした?」
部下C
「オールオッケー。気付かれてない」
白衣の男
「フェイクは?」
部下C
「念のためこれに記してあるポイントに仕掛けてきた」
白衣の男
「パーフェクトだ」
部下C
「感謝の極み…」
どこぞの吸血鬼と執事のようなやりとりだ。
部下Cが手渡した地図には、とある島の地図で、そこには幾つかの赤い印が描かれている。
これだけの数を彼と今この会議に出ていないメンバーとで仕掛けて来たらしい。
部下Cの報告を聞き白衣の男はわずかに口元を緩ませたが、ふと前回のことを思い出した。
水面下で気付かれない様に細心の注意をはらい着々と準備を進めてきた。
そして、計画実行日となり派手な祭りを上げて人々を混乱させ、捕まる前に撤収したのだ。
彼らの計画は成功した…かのように思われていたが、とある人物に証拠を押さえられてしまい、何人かが捕まったのだ。
白衣の男
「あれから1年、か……」
部下A
「リーダー?」
白衣の男
「…皆も覚えている通り、前回は悲惨な結果に終わってしまった。そのせいで多くの血を流してしまった…」
当時の事を思い出し、金髪の女生と橙髪の男性が悲痛な表情を浮かべる。
あの時の“自分たちの油断から生まれた愚かさ”と“捕まった者の悲痛な叫び”は1年たった今でも忘れられないのだ…。
白衣の男
「前回のことを踏まえ、この半年間、我々はより精密な調査と準備を進めてきた」
そう言って彼が向けた視線の先には、今回の計画の詳細が書かれた複数のホワイトボードが置かれていた。
計画の内容が書かれたもの、当日の警備体制や周辺地図など様々だ。
白衣の男
「…確かにここまでの犠牲は大きかった。だがしかし、我らは犠牲となったモノのためにもこの計画を実行しなけらばならないのだ!!!」
[バンッ!]
少し乱暴気味に声を荒げながら話し、ホワイトボードを叩く。
それにより、前回のことを思い出し悲痛な表情をしていたメンバーの顔に活気が戻る。
自分たちは何を弱気になっているんだ。犠牲を支払ってまでここまで計画を進めて来たのではないのかと…。
白衣の男
「諸君、得物を持ち覚悟を決めよ!やつらに我らの力を見せつけてやるのだ!」
もう彼らの顔に迷いや悲しみなんてなかった。
一人一人が狂喜の笑みを浮かべている。
それに白衣の男は一度満足そうに頷き、少し芝居掛った動きで彼らに右手を差し伸べ…
「すでに賽は投げられた。彼らの為に盛大な祭りを開こうではないか!!」
計画の実行を宣言した。
それを部屋にいる者全員が笑みを零す。
まるで、明日が楽しみで仕方がない、待ち遠しいといった感じに…。
彼らの声は誰に聞かれることなく、闇夜に消えて行くのであった。
後書き
【あとがき】
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