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髑髏天使

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第五十話 帰郷その十三


「それだ」
「和みだったんだ、僕達って」
「ただこうして遊んでいるだけだけれどね」
「それで牧村さんの和みになってたんだ」
「そうだったんだ」
「そうだ。こうして共にいると」
 どうかとだ。牧村はさらに話していく。
「和む。それで助けられた」
「息抜きは絶対に必要ですよ」
 ろく子がここでも首を伸ばしてきて話す。
「何においても」
「何においてもか」
「はい、そうですよ」
 こう話すろく子だった。
「弓だってあれじゃないですか」
「常に張っておくものではない」
「必要な時に張ればいいですからね」
「そういうことか」
「備えは必要です」
 ろく子はこうも話した。
「ですがそれでもです」
「息抜きもだな」
「常に備えて息抜きもして」
 ろく子は牧村に話していく。
「そうして戦われるのが一番です」
「人間は機械ではないからのう」
 博士も彼に話してきた。彼は今アップルティーを飲んでいる。
「それはしておかねばな」
「そうだな。思えばだ」
 牧村もアップルパイを食べ続けながら話す。
「ここにいて随分と助かった」
「そう言ってくれるか」
「博士がいて妖怪達がいて」
 言うのは双方についてだった。
「その中にいてだ。俺は人間のままでいられた」
「戦ってばかりだとね」
「そのことだけを考えているとね」
「やっぱりね」
「よくないからね」
 妖怪達も話す。
「それこそ魔物になるからね」
「そうそう。だから」
「それで僕達が牧村さんの役に立っているのなら」
「本当にいいことだよ」
「最初は驚いた」
 牧村は彼等と最初に会った時のことを思い出していた。その時のことは決して忘れられなかった。髑髏天使になったことと共に。
「実際にこの世にいるのかとな」
「僕達がね」
「これがいるんだよね、実際は」
「そうそう。世の中住んでいるのは人間だけじゃない」
「僕達だっているからね」
 妖怪達はこう明るく話していくのだった。
「それがわかってくれる人って少ないから」
「博士はそうだけれどね」
「わかってくれる人以外には見えないのが僕等だからね」
「そういうものだからね」
「それはどういうことだ」
 牧村は妖怪達のそのわかってくれる人しかという言葉に問うた。
「一体」
「ああ、僕達がいないと思ったらね」
「心から完全にそう思っていた場合にはね」
「そういうことなんだ」
「そうだったのか」
 これを聞いてだ。牧村はあることに気付いたのだった。
「では俺はだ」
「そうだよ。心の何処かで僕達がいるって思ってたんだ」
「だから実際に僕達と出会えたんだ」
「そういうことなんだ」
「そうだったのか」
 それを聞いてだ。納得する彼だった。 
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