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髑髏天使

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第四十九話 停戦その六


「それでもね」
「敗れればそれで終わりだな」
「全てがな」
「世界までもね」
「そうだ、何もかもがだ」
「私達の手にかかっている」
 二人は今そのことを実感していた。
「勝つしかない」
「原初の混沌までだ」
「そしてそれは」
「あちらもか」
「混沌の側もだな」
「そう、どちらが最後まで勝つかね」
 目玉の言葉に真剣なものが宿っていた。
「これはそうした勝負だよ」
「わかっている」
「それもよくな」
「だから僕もね」
「戦うのだな」
「私と共に」
「うん、死神もそれでいいかな」
 パートナーへの言葉だった。
「僕と一緒にで」
「構わない」
 これが死神の返答だった。
「むしろだ」
「むしろ?」
「頼む」
 顔は彼に向けていないがだ。言葉を向けたのだった。
「是非な」
「うん、それじゃあね」
「混沌を倒す」
 死神は言った。
「必ずだ」
「そうだね。そうしよう」
「しかしだ。謎はまだ多いな」
「むしろさ」
 目玉はその謎についても言及した。
「あれじゃない?戦えば戦うだけね」
「謎も増えていくか」
「謎が謎を呼びね」
 目玉は話していく。
「そうしてさらに謎を呼んでね」
「何処までもだな。謎が多くなっていくな」
「それも深まってるね」
「その中心にだ」
 死神の目が光った。そのうえでの言葉だった。
「あの男がいるな」
「ナイアーラトホテップがね」
「あの男が鍵だな」
 今度は牧村が言った。
「混沌のな」
「うん、大抵の妖魔やその神々も」
 目玉は牧村のその言葉に応えて彼に顔を向けて話してきた。
「あれじゃない。本能だけでさ」
「これといった知性はないな」
「言葉は喋れるけれどね」
 それでもなのだった。知性は感じられないのだった。
「原始的っていうのかね」
「本能的と言うべきか」
「知能は高いだろうけれどそれでも本能が異常に強いね」
「そうした存在だな」
「うん、けれどあの男はね」
 目玉もなのだった。男をこう呼んだのであった。
「かなり知性的な発言に行動だからね」
「そして常に妖魔を俺達の前に出してくる」
「絶対に鍵だよ」
 目玉は言い切った。
「あの男こそがね」
「仕掛けるか」
 死神の言葉だ。
「ここはあの男に」
「そして謎に近付くか」
「それはどうか」
 こう牧村にも言う。
「そうして攻めてだ」
「そうだな。悪くはないな」
「そうだね」
 牧村だけでなく目玉も賛同してきた。 
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