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髑髏天使

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第四十八話 妖神その十


「ファミコンもやったのう」
「当時幾つだった」
「さて」
 年齢を問われると首を傾げさせる。それが博士であった。
 そして首を傾げさせてだ。あやふやな返事をするのだった。
「八十か九十か」
「それでゲームをしていたのか」
「今でもしておるぞ」
 こうも言うのだった。
「ちゃんとのう」
「百歳を超えてテレビゲームをできるのか」
「ぼけなくていいのじゃよ、これが」
 笑いながらの言葉だった。
「頭も手も使うからのう」
「そうそう、遊びをしてるとぼけないんだよね」
「勉強もいいけれどそっちもね」
「頭のいい運動になるからね」
「だからいいんだよ」
「それでか」
 牧村は妖怪達の話も聞いたうえで述べた。
「博士もテレビゲームをか」
「他には迷路やパズルもしておる」
 そうしたものもだというのだ。
「クロスワードやピースパズルものう」
「多彩だな」
「頭を使う遊びは好きじゃ」
 博士は笑いながら言う。そうしてストローでオレンジジュースを飲んでいく。
「何かとな」
「ではカードゲームは」
「うむ、しておる」
 それもなのだった。
「しかとな」
「そうなのか」
「あれもいいものじゃ」
 子供の遊びとされているものだが博士はそれでもいいというのだ。
「中々のう」
「子供と一緒に遊んでいるのか」
「ひいひい孫達とだけじゃなくてじゃ」
「僕達ともそれで遊んでるよ」
「それに他にもね」
 ここでまた話す妖怪達だった。
「街の子供達とも遊んでるよ」
「カードのお店に行ってね」
 そうしているというのである。
「他にもテレビゲームとか」
「そういうものも買ってね」
「子供達とあれこれ話して」
「そうしてるよね」
 こう話すのだった。これが博士だった。
「とにかく博士は遊ぶの好きだよ」
「とてもね」
「僕達と同じで」
「気は若いよ」
「いや、それは」
 牧村は妖怪達の博士は若いという言葉にすぐに一言入れた。
「違うな」
「違うって?」
「どう違うの?」
「そうだよね。違うって言われても」
「よくわからないけれど」
「この場合はどう違うのかな」
 妖怪達は牧村の今の言葉にそれぞれ首を傾げさせて問うた。
「違うっていっても色々だけれど」
「ここじゃあどう違うのかな」
「若くはない」
 牧村は彼等に応えてこう話した。
「幼いと言うべきか」
「ふむ。それではじゃ」
 博士も彼の言葉を聞いて述べた。
「あれじゃな。童心じゃな」
「それか」
「わしがそれを持っているというのじゃな」
 こう自分で言う博士だった。
「つまりは。そうじゃな」
「そうかもな」
 牧村もそれを否定しなかった。それで言うのだった。
「童心か」
「昔から持っておった」
 博士はにこやかに笑いながら話す。
「子供の頃からずっとじゃ」
「遊んできたか」
「中年の時も初老の時も」
 その時もだと話していく。 
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