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髑髏天使

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第四十五話 新生その十


「あの頃の欧州は非常に不衛生だったからのう」
「道の端にゴミや糞尿が捨てられていてか」
「そこを鼠が走り回ってじゃ」
「そしてペストを流行らす」
「そういうことじゃ」
 まさにそれだというのだった。
「そういうことだ」
「そうだったな。つまり鼠か」
「衛生的にしておくのも大事じゃよ」
 博士はこのことも注意した。
「わしはそれについては五月蝿いつもりじゃ」
「医者としてか」
「左様じゃ」
 牧村の今の言葉に大きく頷いてみせる。
「だから言えるのじゃよ」
「医者だからか」
「だから食べ物にも気をつけておるのじゃ」
「しかし。それにしては」
「それにしては?」
「甘いものを食べ過ぎではないのか」
 牧村は博士のこのことを注意した。
「それもかなり」
「ああ、それか」
 博士も牧村のその言葉に返してきた。
「それじゃがな」
「それはいいのか」
「これでもちゃんと気をつけておる」
 そうだというのだった。
「糖尿病についてもわかっておるからな」
「本当か?」
「嘘をついて何になるのじゃ」
 博士は言った。
「わしが糖尿病になるだけじゃぞ」
「それはその通りだな」
「自分の身体は自分で何とかせんといかん」
「そうしなければ」
「自分が身体を壊す」
 そうなってしまうというのである。
「だからじゃよ」
「その通りだな。それは俺もだな」
「君の場合はじゃ」
「どうなのだ、俺は」
「とにかく食べることじゃ」
 そうすべきだというのである。
「今よりも食べていい位じゃよ」
「そこまでか」
「普段のトレーニング、それに戦い」
「その二つの為か」
「左様じゃ、栄養だけでなくカロリーもじゃ」
「必要か」
「どうやら髑髏天使の姿になると」
 博士の目が光った。髑髏天使になると尚更であった。
「相当な体力を使うようじゃしな」
「確かにな」
 牧村自身もだ。それは実感していた。
 だからこそだ。今こう話すのだった。
「戦いの後と比べるとな」
「全く違うのじゃな」
「かなりの疲れを感じる」
 実際にそうだというのだった。
「どうもな」
「そういうことじゃ。だからじゃ」
「食べることか」
「今の階級はとりわけじゃ」
「あらゆる力を使えるようになればそれだけか」
「体力を浪費する。そして下手をすれば」
 その時についてもだ。牧村に話すのだた。
「その時にやられてしまうからじゃ」
「わかった」
 牧村は博士のその言葉に頷いだ。そして言うのだった。
「それではだ」
「よく食べることじゃ」
 博士は言った。 
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