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髑髏天使

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第四十五話 新生その四


「神の強さはその司るものの重要さと」
「まずそれか」
「それとその数じゃ」
「司るもののその数か」
「その二つで決まるのじゃ」
「そうなのか」
「例えばゼウスじゃ」
 またギリシア神話の話になった。
「天界の主としてじゃ」
「天界を治めているな」
「空を司っておる」
 まずはそれであった。
「そして雷と。繁栄や秩序やそういったものもじゃな」
「重要なものばかりだな」
「だから力が強いのじゃ」
 まさにそれによってというのである。
「その質と数によってじゃ」
「死神は死を司っている」
「いうまでもなく重要じゃな」
「確かにな」
「そして秩序じゃ」
 仮定であるがあえて断定して話してみせたのだった。
「それもまた重要じゃな」
「秩序。この世の摂理」
「左様、これもまた重要じゃ」
「死と秩序か」
「二つの司るものができれば」
 また言う博士だった。
「それだけ強くなるからのう」
「だからか」
「それでじゃ」
「それで、か」
「死神は強くなる」
 こう彼に話した。
「君と同じようにじゃ」
「俺とか」
「左様、しかしそれはじゃ」
「それは?」
「君にとってもいいことじゃ」 
 そうだというのである。
「混沌の勢力との戦いはこれからさらに激しくなる」
「それは間違いないな」
 牧村もそう呼んでいたのだった。
「さらに強い妖魔が出て来るな」
「そうじゃ。君だけでなく死神が強くなれば」
「こちらの戦力があがる」
「だからか」
「うむ、それでじゃ」
「今度は何だ」
「これから何か食べるのじゃな」
 この話になった。
「それで何じゃ?」
「そうだな。そう言われてもな」
「すぐには思いつかぬか」
「何がいい」
 博士に問い返す程だった。
「それで」
「そうじゃな。お好み焼きはどうじゃ?」
「それか」
「そうじゃ。お好み焼きじゃ」
 それだというのである。
「お好み焼きをじゃ。どうじゃ」
「そうだな。いいな」
「大阪のお好み焼きじゃ」
「本場のものを食べてか」
「やはりいいものじゃ」
 博士はもうそれにするつもりだった。顔が完全に笑っている。それが何よりの証だった。それでさらに話をするのであった。
「本場のお好み焼きはな」
「今思ったが」
 牧村はここでふとした感じで博士に言った。
「お好み焼きだな」
「そうじゃが」
「歯は大丈夫なのか?」
 こう博士に問う。
「そちらは」
「わしの歯か」
「百十歳だったな。確か」
「まあその辺りじゃ」
 時際の年齢はだ。博士自身も曖昧になっているところがあった。 
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