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髑髏天使

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第四十四話 妖虫その二十一


「どうやら」
「愚かであればだ」
「生きてはいない」
 二人同時に妖魔のその問いに答えた。
「違うか」
「そうだな」
 妖魔もこう返してきた。
「それはその通りだ」
「そしてだ」
「今度もまた」
「残念だがそうはいかない」
 二人の今の言葉は否定する妖魔であった。
「それはだ」
「では貴様が勝つというのか」
「生き残るというのだな」
「如何にも」
 自信に満ちた返答であった。
「だからこそ今こうして答えるのだ。
「ではだ」
「どちらが生き残るから決めるとしよう」
 二人は言いながら構えてだった。早速だった。
 それぞれ左右に跳び妖魔に襲い掛かる。まずはだ。
 髑髏天使がだ。右手の剣から炎を放った。
 それで妖魔を焼こうとする。しかしであった。
「むっ!?」
「無駄だ」
「無駄だというのか」
「見ればわかる」
 そう言って避けることなく炎を受ける。するとであった。
 炎は巨体に受けられそれで消えた。それで終わりだった。
 そしてだ。平然とした妖魔の言葉が返ってきた。
「この通りだ」
「巨体故にか」
「そういうことだ。この身体はだ」
 また言う妖魔だった。
「私を守る最大の武器だ」
「身体が大きいとそれだけか」
「わかったな。このことが」
「それはわかった」
 死神が妖魔の言葉に応える。
「そのことはだ」
「しかしというのだな」
「如何にも。炎が駄目ならだ」
 鎌を右斜めに大きく振り被ってだった。そのうえで。
 投げた。大鎌は回転しながら妖魔に向かう。そうしてだった。
 その巨体を貫きブーメランの様子に返ってきた。死神はその己の鎌を右手で受け止めてだ。構えなおしてそのうえで妖魔に対して問うた。
「これでどうだ」
「どうかと言われてもだ」
「普通の者ならこれで首や胴が飛ぶ」
 そこまでの攻撃だというのである。
「当然貴様もただでは済んでいない筈だ」
「普通ならばな」
 だが、であった。ここでも妖魔の声には余裕があった。
「そうなっていたな」
「違うというのか」
「如何にも」
 こう言ってであった。妖魔のその身体がだ。
 切り裂かれ穴になった場所がだ。次第に狭まっていく。そうしてその穴は完全に消えてしまった。何ごともなかったかのようにであった。
 その穴が消えてからだ。妖魔は死神に言ってみせてきた。
「この通りだ」
「回復したというのか」
「見事な攻撃だった」
 死神のその攻撃の威力は認めていた。
「だが」
「だが、か」
「私を倒せるものではない」
 こう死神に告げた。
「残念だがな」
「これで無理とはな」
「私を倒すことは無理だ」
 妖魔は断言さえしてきた。
「この巨体を倒すことはだ。そして」
「そして」
「今度は何だ」
「私はただ攻撃を受ける趣味はない」
 彼からの言葉であった。
「こうしてな。だからだ」
「来るか」
「貴様から」
「如何にも」
 その通りだというのであった。 
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