髑髏天使
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第四十四話 妖虫その十四
「それは人による」
「太ってても勉強できる人はいるわよね」
「身体を激しく動かしているとほぼ間違いなくやせる」
それはだというのだ。
「贅肉が落ちる」
「動かしていればね」
「しかし頭脳はまた違うからだ」
「贅肉は落ちないからね」
「その通りだ。それはわかっておくことだ」
「わかってるわよ。それでね」
「ああ」
話が戻った。それも未久が望む方にだ。
「アイスおかわりね」
「冷蔵庫の中にある」
牧村はこう妹に素っ気無く告げた。
「そこでとって来るといい」
「冷蔵庫になの」
「冷蔵庫の一番下だ」
そこだという。
「その冷凍庫の中にある」
「ああ、あそこね」
「そこに行って好きなだけ取ればいい」
また妹に話した。
「そうしろ」
「自分では入れてくれないの」
「それ位は自分でしろ」
そういうことだった。
「わかったな」
「わかったわよ。何かね」
「何か?」
「冷たいわね」
兄を咎める目で見ての言葉だった。
「そういうところって」
「俺が冷たいか」
「冷たいじゃない」
咎める口調でもあった。
「ここで妹の為に入れてあげようって気にはならないの?」
「なる筈がない」
兄は冷たい口調だった。
「自分の分は自分で入れろ」
「ちぇっ」
「そのかわり好きなだけ入れろ」
「本当にそうするわよ」
「構わない」
それはいいというのだ。
「どれだけ食べてもな」
「お兄ちゃんはどうするの?」
「俺の分も作ってある」
「そんなに沢山作ったの」
「バケツ一個分だ」
その実際の量も話した。
「それだけある」
「アメリカサイズね」
「イメージはした」
「そうだったの」
「それでだ。量もある」
また量について言及した。
「食べるといい、好きなだけな」
「お兄ちゃんも食べるわよね」
「そのつもりだ」
こう妹に話す。
「ただ自分でおかわりを入れる」
「入れてきてあげてもいいけれど」
「それはいい」
いいというのだった。
「自分のことは自分でだ」
「自分で、なのね」
「そうだ。そうする」
「わかったわ。じゃあね」
こうした話をしてそのうえでだった。彼等はアイスクリームを楽しんだのであった。そうして兄妹の団欒の時を楽しんだのであった。
そうした日もあった。だが次の日はそれが一変した。朝にだった。
トレーニングから帰りシャワーを浴びてすぐにだった。
目玉が来た。そうして彼に告げるのであった。
「いいかな」
「戦いか」
「うん、そうなんだ」
こう彼に言ってきたのだ。
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