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髑髏天使

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第四十四話 妖虫その一


                     髑髏天使
                   第四十四話  妖虫
「ふむ、遂にか」
「そうだ、なった」
 牧村はまた博士に話していた。今話している場所はお好み焼き屋である。そこでお好み焼きを食べながら話をしているのである。
 無論妖怪達も一緒である。彼等もそれぞれお好み焼きを焼いてそれで食べている。
 そしてだ。博士もイカ玉を食べながら牧村と話していた。
 それでだ。彼は言うのだった。
「八ヶ月やそこいらでなるとはのう」
「なかったことだな」
「前代未聞じゃ。そもそも最高位になるということがじゃ」
「なかったか」 
「一人か二人だったのじゃぞ」
 その程度だったというのだ。
「それも何十年もかかってじゃ」
「しかし俺はか」
「僅か八ヶ月か九ヶ月。まずなかった」
「それは聞いていたが」
「凄いことじゃ。どうやらこれは」
「これは?」
「やはり故あってのことじゃな」
 そうではないかという博士だった。
「それでじゃな、やはり」
「そうか」
「そうじゃ。そしてじゃが」
「ああ」
「まずは魔神達が出て来た」
 彼等のことも話される。
「この時代に全ての魔神達がのう」
「そして魔物達も数多くか」
「出て来た。これはどうもじゃ」
「魔物だけの問題じゃなかったみたいだね」
「そうだね」
 ここで妖怪達も言う。ここでも人間に変装はしている。
「何かに触発されてね」
「それで出て来ていたのかもね」
「つまりは」
「妖魔か」
 牧村はすぐにわかった。
「あの連中の存在があったのか」
「妖魔についてはのう」
 博士は難しい顔になった。牧村の前に腕を組んでいる。その髭だらけの顔がだ。微妙に歪んでいることも確認された。
「資料が少ないのじゃ」
「少ないか」
「そうじゃ。前にネクロノミコンの話はしたか」
「それは手に入れていたな」
「一応な。しかしじゃ」
「しかしか」
「解読は難しい」
 こう牧村に話す。
「どうもな」
「それは何故だ」
「ネクロノミコンを書いた人間に問題がある」
 まずはそこから話すのだった。
「発狂した人間だったのじゃ」
「発狂した、か」
「発狂したアラブ人が書いたものじゃ」 
 それがそのネクロノミコンだというのだ。
「その書かれている内容もな。相当なものでのう」
「ではそれを読むとか」
「わしも発狂する恐れがある」
 博士が危惧しているのはこのことだった。
「それが問題なのじゃ」
「そうなのか。それでか」
「それで何とか気を落ち着かせながら解読をしている」
「それでも進んでいるか」
「何とかのう」
 博士の言葉は今一つはっきりしないものだった。 
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