髑髏天使
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第四十三話 熾天その十三
「力が」
「その力がか」
「凄いものだ」
また言うのであった。
「この力、これまでとは比べものにならない」
「ではその力をだ」
「何だ」
「使いこなせるな」
死神が今髑髏天使に問うのはこのことだった。
「貴様はその力を充分にだ」
「今までは無理だった」
まずはこう答える髑髏天使だった。
「今まではな」
「そうだったのか」
「心がなかった」
それでだというのである。
「しかし今はだ」
「違うな」
「使える」
まずは一言だった。
「使いこなしてみせる」
「ではそれを見せてもらおう」
「いいだろう。それではだ」
既に力は全身に及びみなぎっていた。そうしてである。
その黄金の身体からだ。無数の空の刃を出したのであった。
両手の剣を縦横に振るってだ。そのうえで出していた。
それは水の中の妖魔達を次々に切り裂く。そのうえで青白い炎に変えていく。
そのうえでだ。雷も次々と放つ。次はそれであった。
死神はその戦う姿を見てだ。また言うのであった。
「見事だな」
「見事か」
「使いこなしている」
彼もまた認めるのだった。
「その力をだ。それならばだ」
「大丈夫か」
「今の貴様には心がある」
死神も言った。
「だからだ。大丈夫だ」
「そうか。それならばだ」
「安心してその力を使え」
彼はまた髑髏天使に告げた。
「妖魔との戦いにな」
「そうさせてもらう。少なくともこの戦いはだ」
「生き残るのだな」
「俺は生きる」
戦いながらの言葉だった。
「生きて、そして妖魔達を倒す」
「私もだ」
死神もここで再び鎌を振るった。
そのうえで十人の死神達がそれぞれ妖魔達を斬る。戦いは完全に彼等のものになっていた。
海の中の妖魔達は瞬く間に倒された。最後の一人がだ。
死神の一人に首を刎ねられ赤い炎となった。それが終わってからだ。
海から出た。するとそこにであった。
男がいた。そのうえで二人に言うのだった。
「遂になったか」
「熾天使のことか」
「無論だ」
髑髏天使を見据えながらの言葉である。
「遂にそこにまでなったか」
「そうだ。この姿が何よりの証だ」
「わかった。どうやらだ」
「どうやらか」
「貴様との戦いは本気になる必要があるな」
「本気か」
「私もまたこの力を見せる時が来る」
その漆黒の姿で髑髏天使に告げる。
「その時がだ」
「それは今ではないのか」
「今か」
「そうだ。そうではないのか」
「貴様は熾天使になってすぐだ。まだその力を完全には出していない」
こう告げるのであった。
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