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髑髏天使

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第四十二話 共闘その十二


「お店潰してね」
「馬鹿だよね」
「全くだよ」
「潰れる為の行動にしか思えんな」
 博士はカレーと卵をかき混ぜながら話していた。当然ソースもかけている。
「美味いものを食うのにはじゃ」
「差別は不要だな」
「そうじゃ。お金を出せば誰でもよいのじゃ」
 博士は牧村にもこう話した。
「誰でもな」
「そうだな。金さえ払えばな」
「客の方もマナーを守らないといけないがのう」
「それは常識だな」
「双方常識を守っていればそれでよいのじゃ」
 博士の言葉はまさに正論であった。
「それだけなのじゃよ。必要なのは」
「そうだな。しかしだ」
 だが、だった。ここで牧村は言うのだった。
「それができていない客がだ」
「多いな」
「それもかなりのう」
 博士はそのかき混ぜたカレーを食べながら残念そうに述べた。
「店の方も問題じゃがな」
「客もだな」
「冗談抜きで酷い客もおる」
 博士の残念そうな言葉は続く。
「全く以てな」
「そうそう。例えば食べた後の食器に痰吐いたりね」
「もう論外なのいるから」
「食べ物投げたりちゃぶ台ひっくり返したり」
 漫画のキャラクターの様だがこうした人間も実在する。
「そういう奴本当にいるからね」
「そういう奴は何かを食べる資格ないよ」
「全く」
「食器に痰か」
 牧村はこのことに眉を顰めさせる。彼もまたカレーを食べている。
「信じられないな」
「しかしこれがいるんだよね」
「そうそう、本当にね」
「いるから」
「僕達も見て驚いたから」
 妖怪達は口々に話す。
「あんなことする人間本当にいるんだって」
「もう我が目疑ったから」
「普通じゃないよ」
「食器、そして食べ物、ひいては食事への冒涜じゃ」
 博士も苦い顔で述べた。
「そうした行為はのう」
「そうだな。人間として絶対にやってはいけないことだ」
 牧村もこう考えていた。
「俺もそう思うことだ」
「どんな無作法な者も普通はそんなことはせん」
 博士の口調は苦いものになっていた。
「普通の無作法者はじゃ」
「っていうかあいつどんな生活してるのかな」
「そうだよね。どんだけ酷い生活してるんだか」
「仕事何?」
「っていうかどんな生き方してきたの?」
「そうしたことまで疑われる行動じゃ」
 博士の言葉も厳しい。
「論外じゃ」
「そうだな。最低限のマナーだ」
 牧村もまた述べた。
「反面教師としなければな」
「そうそう、牧村さんは立派になってよね」
「それが友達としての願いだからね」
「頼むよ」
「わかっている」
 牧村は迷いがなかった。
「最低限のことだからな」
「それができてない奴は最低以下じゃな」
 博士はここでも述べた。
「最低より下は何というかというとじゃ」
「何ていうの?」
「文学博士でもあるしわかるよね、それは」
「それで何て表現になるの?」
「論外じゃ」
 出て来たのはまたこの言葉だった。 
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