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髑髏天使

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第四十二話 共闘その三


「それが一番簡単だが」
「そうすればどうかしら」
「それが最も魔物らしいですね」
 小男の言葉だ。
「そうなりますね。ただしそれはそれで問題があります」
「戦力の分散」
「それね」
 男と女もそれだと話す。
「妖魔と二人を同時に相手にすると」
「こちらとしては手間が倍になるわね」
「それは我々としても厄介なことです」
 小男はまたこのことを指摘した。
「どちらかに絞るべきでは」
「それではどちらだ」
「どちらを相手にするのかしら」
 黒人と美女がそこを問い返す。
「どちらを倒す」
「妖魔かしら。それとも」
「それが問題じゃな。どちらかじゃな」
 老婆が話した。
「さて、どちらじゃ」
「そうですね。問題はです」
 ここで言ったのはまたしても老人だった。
「どちらが我々にとってより相手にすべき存在かということです」
「問題はそれか」
「そういうことになるんだ」
「どちらがより問題か」
「我々にとって」
「そしてです」
 また言う老人だった。
「私としてはですか」
「百目はどう思う」
「どちらだ」
「どちらが厄介だ」
「妖魔ですね」
 そちらだと。今はじめて答えたのだった。
「妖魔です。問題とするべきはです」
「破壊と混沌をわし等にも及ぼすからこそ」
「その通りです」
 老婆の言葉に応えたのだった。
「だからこそです」
「そうじゃな」
 老婆も老人のその言葉に頷いた。
「わしもそう思う」
「賛成して頂けますね」
「髑髏天使とは何時でも戦える。しかしじゃ」
「妖魔はそうはいきません」
「今戦わなくてはならぬな」
 老婆の皺がれた声がだ。強いものになっていた。
「さもなければわし等が滅びてしまうわ」
「滅びていいと思われますか」
 老人はまた仲間達に問うた。
「皆さんは。何もせずに滅びていいですか」
「まさか」
「そんな筈がないじゃない」
「馬鹿げた話ね」
「全くだ」
 これが魔神達の言葉だった。
「それなら。ここは」
「髑髏天使を置いておいて」
「まずは妖魔達の相手をする」
「そういうことね」
「はい、これで決まりですね」
 老人は仲間達の意見をまとめて言った。そうしてだった。
 彼等は何処かに消えた。それでそれは終わった。
 牧村はまた走っていた。若奈も一緒だ。彼女は自転車に乗ってそのうえで彼の横にいた。セコンドの役割を務めているのである。  
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