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髑髏天使

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第四十一話 暗黒その二


「俺達が髑髏天使と戦っていても気にせずな」
「じゃあここはどうする?」
「そうだね。それが問題だよ」
 青年と子供も言ってきた。
「髑髏天使は仕掛けて来ないと何もしてこない」
「けれど妖魔は違う」
「じゃああれだな」
「そうね。ここは」
 男と女が言ってきた。
「妖魔と戦うか?」
「髑髏天使は放っておいて」
「それでいいのでは?」
 今度は中年の男が考えを述べてきた。
「ここは」
「ううむ、それでは」
「そうするべきかしら」
 黒人と美女も妖魔と戦う方に動いた。
「髑髏天使との戦いは後でいい」
「それならね」
「そうじゃな。わしもそれに賛成じゃ」
 老婆が最後に言ってきた。
「妖魔と戦うべきじゃ、まずは」
「わかりました」
 老人は同胞達の意見を聞いたうえで最後に述べた。
「では我々はこれよりです」
「髑髏天使との戦いを中断し妖魔に向かう」
「そうするか」
「それでね」
「はい、それではです」
 ここでまた言う老人だった。
「私が髑髏天使に伝えに行きましょう」
「待つのじゃ」
 ここで老婆も出て来た。
「わしも行こう」
「貴女もですか」
「来たばかりじゃ。もう一度挨拶もしておきたい」
「だからですね」
「そういうことじゃ。それでじゃ」
 それが理由だというのだ。
「それでよいかのう」
「はい、それでは」
 老人は微笑んで老婆のその申し出を受けて述べた。
「共に参りましょう」
「相変わらず話がわかるのう」
「いえいえ、こうしたことはやはりです」
「やはり?」
「一人だけで楽しむものではありません」
 だからだと。老人は話す。
「ですから。共に参りましょう」
「さて、その時に妖魔も出て来ればじゃ」
「丁度いいですね」
「ナイアーラトホテップじゃったな」
「そうです」
 妖魔を束ねる邪神の名前も既にわかっていた。
「盲目のスフィンクスです」
「しかし見えている」
「面白いですね。矛盾しています」
「しかしその矛盾もまた妖魔の属性じゃったな」
「混沌」
 老人が言う言葉はそれだった。一言だった。
「ですから」
「その為に矛盾もまた当然のことか」
「そうなります。面白いですね」
「聞けば聞く程な。わし等は楽しみじゃが」
「戦いは楽しみ」
「そうじゃな。じゃから妖怪から魔物になった」
 それが妖怪と魔物を分けるものだった。妖怪が戦いを楽しむようになればそれで魔物になるのだ。両者の違いはそうしたものであるのだ。 
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