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髑髏天使

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第四十話 漆黒その十五


「それを言っておく」
「貴様はほらや嘘をつく人間ではないようだがな」
「決まっていることを言うのが予言ならばそれだ」 
そうだというのだった。
「これでわかったな」
「そういうことか」
「その通りだ。では来い」
 また妖魔に対して告げた。
「予言をその通りにしてみせよう」
「では私も予言をしよう」
 妖魔はふとここでだ。こんなことを言ってきたのだった。
「それでいいか」
「貴様の予言か」
「そうだ。勝つのは私だ」
 彼の予言はそれだった。
「貴様は私に倒される」
「貴様の予言、確かに聞いた」
 髑髏天使はまだ振り向かない。
「今な」
「それでは死ぬ覚悟はできたか」
「俺は予言した。その必要はない」
 こう返すだけだった。
「そういうことか」
「そういうことだ。では来い」
「行くとしよう」
 動いた。そのうえで向かう。黒い闇の風だった。
 だが髑髏天使はまだ振り向かない。そうしてだった。
 気配がすぐそこまで来た。ここでだった。
 ここで振り向いてだった。右手の剣をその振り向きざまに一閃させた。
 その剣が斬った。闇を。
 斬った感触はあった。間違いなかった。
「くっ・・・・・・」
「予言はその通りになってこその予言だ」
 彼は振り向いたその姿勢で言った。
「しかしその通りにならなければ」
「何だというのだ」
「只の戯言だ。それに過ぎない」
「では私の言葉は戯言か」
「そうなる。残念だったな」
「見事だ」
 妖魔は黒い血を流していた。そのうえでの言葉だった。
「髑髏天使。ここまで生きているだけはある」
「闘いの中でだな」
「そうだ。それは見事だ」
 また話す彼だった。
「私を倒すだけはある」
「背中を見せればそこに来る」
 また言う髑髏天使だった。
「そしてそこを斬るだけだ」
「口で言うのは容易いがな」
「勝負は全て一瞬で終わる。ならばだ」
「これもいいというのか」
「そういうことだ。では死ね」
 彼は言った。
「あの世に旅立つのだ」
「そうさせてもらう。それではな」
 青い炎に包まれていく。そうしてだった。
 その中に消えた。それと共に闇が消え元の世界に戻った。
「終わったな」
「貴様はまた生きたな」
 そこに死神が来た。そのうえで言ってきた。
「無事にと言うべきか」
「それがどうかしたか」
「何もない。ただ」
「ただ。何だ」
「貴様は最早完全に人間となったな」
 こう彼に言うのだった。
「魔物になることはないな」
「それはわかるのか」
「妖魔の闇の中でもそのままでいた」
「それが何かあるのか」
「あの闇は妖魔の闇」
 彼は言う。
「それに取り込まれなかったな」
「どういうことだ?」
 今の死神の言葉にだ。すぐに問い返した。
「それは」
「言ったまでのことだ。若し貴様が人の心をなくしていればだ」
「取り込まれていたというのか」
「そうだ」
 これが死神の言葉だ。 
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