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髑髏天使

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第四十話 漆黒その一


                     髑髏天使
                   第四十話  漆黒
「ナイアーラトホテップか」
「そうだ」
 今日は中之島図書館だった。そこで博士に話していた。
「知っているか」
「いきなり大物が出て来たのう」
 博士の最初の言葉はこれであった。
「随分と」
「ということは知っているな」
「前に話した筈じゃ。その盲目のスフィンクスじゃ」
「それは聞いた」
 牧村はまず博士に告げた。向かい合って座った状態でだ。
「よくな」
「邪神の中でも相当高位にあってじゃ。恐ろしい力を持っている」
「そして人の姿をしていた」
 牧村はこのことも話した。
「漆黒で。顔付きは白人のものだった」
「それで本人が仮の姿と言ったのじゃな」
「その通りだ。わかっていたか」
「わかっていたぞ。あれが一番厄介な邪神なのじゃ」
「最もか」
「邪神の封印を解ける者じゃ」
 そうだというのである。
「邪神の封印か」
「邪神は今は封じられておる」
 博士はまた話す。
「その殆どがな」
「そうなのか」
「しかしそれをじゃ。解ける者じゃ」
「では最も危険な者か」
「うむ」
 また頷く博士だった。
「気をつけておくことじゃ」
「それはわかった。ではまずあいつからか」
「倒すというのじゃな」
「そうだ、倒す」
 単刀直入なのは言葉だけではなかった。
「そして」
「そしてか」
「あいつを倒せば他の邪神達は封印を解かれないな」
「それはそうじゃが」
「では答えは出た」
 彼は言った。断言だった。
「あの邪神を倒し話を終わらせる」
「それができればいいのじゃがな」
「いいというのか」
「強いぞ」
 博士は牧村の顔を見てだ。そうして話す。
「あの邪神は」
「神だからか」
「それ以上のものがあるのじゃ」
「それ以上だと?」
「左様、ナイアーラトホテップはただ封印を解けるだけではないのじゃ」
 博士はだ。このことを牧村に話すのであった。
「解けるだけの力があるのじゃ」
「力がか」
「だから解ける。そもそもあの邪神も封印されておった筈じゃ」
「誰が解いた」  
 牧村がここで問題にするのはこのことだった。
「あの邪神の封印は。誰が解いた」
「ヒントを出そうか」
「ヒントか」
「そうじゃ、ヒントを出そう」
 こう牧村に話してきた。
「邪神の封印を解けるのは邪神だけじゃ」
「ではそれを解いたのは」
「ナイアーラトホテップ自身じゃ」
 そうだというのであった。話すのはこのことだった。
「これでわかったな」
「どうやってその封印を解いたかだが」
「封印に少しずつ攻撃を仕掛けそうして長い年月をかけてじゃろうな」
「長い年月をか」
「人が何十世代、いや何百世代か」
 それだけでだ。気の遠くなる世代の話だった。
「それだけの時間をかけて封印に攻撃をして解いたのじゃ」
「執念か」
「神の時間は人の時間とはまた違う」
 博士はまた話した。
「そういうことじゃ」
「人の時間とは違うからか」
「問題とすべきはあの邪神が自ら封印を解きそして世に出た」
 言うのはこのことだった。 
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