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髑髏天使

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第三十八話 老婆その七


「貴方はどうされるのですか」
「俺か」
「はい、貴方はです」
 それは今の彼を見ての言葉ではなかった。髑髏天使としての彼を見てである。そのうえで彼に対して語ってきている、そうした言葉だった。
「どうされますか」
「若しもそれが俺に向かう存在ならば」
「はい」
「戦う」
 これが返答だった。
「その場合はだ」
「左様ですか」
「貴様等はどうする」
 自分のことを答えたうえで老人に対して問う。
「それでだが」
「無論私達もです」
「戦うか」
「本来は髑髏天使との戦いを楽しむのが我等ですが」
 その髑髏天使である彼を見ながらの言葉である。
「しかし彼等と戦うのもです」
「どうだというのだ?」
「一興です」
 それだというのである。
「ですから」
「そうか、戦うのか」
「私達に向かって来るならば尚更です」
 その場合についてもだ。老人は言うのであった。
「戦い。そしてです」
「倒すか」
「はい、それだけです」
 そうだというのであった。
「そういうことです」
「そうか、わかった」
「しかし」
「しかし?」
「妖魔ですか」
 老人は表情は変えない。しかし何か引っ掛かるものを見たようだった。
「何かしらですが」
「どうだというのだ、今度は」
「不吉な、禍々しいものを感じずにはいられませんね」
「そうだな。それは俺もだ」
「ふむ。貴方もですか」
「何故かはわからない」
 それだもだという。牧村の言葉は変わらない。
「それでも感じるものは感じる」
「左様ですか」
「そもそもが倒さなくてはならない相手かも知れないな」
「髑髏天使としてですね」
「そんな気もする。さて」
 ここまで話してだった。彼はまた言うのであった。
「話はこれで終わりか」
「はい、お話することはそれで」
「最後の魔神か」
「ですが今度は戦わないでしょう」
 このことも言ったのであった。
「今の貴方とは」
「俺とはか」
「申し上げた通りどうやら貴方との戦いよりも前にです」
「妖魔か」
「それについて調べないといけません」
 だからだというのである。
「ですから」
「そうだな。それでは俺もだ」
「貴方との戦いがないのは寂しいのですが」
「多くの魔物達を今まで倒してきたがな」
「彼等も言っていますよ」
 ここでだった。老人は奇妙なことを言った。少なくとも牧村が聴いてはそうだった。
「また闘いたいと」
「まただと?」
「そうです、またです」
 こう言うのである。
「また闘いたいと」
「死んだのではなかったのか」
 牧村は怪訝な顔で老人にこのことを問うた。
「確か」
「はい、死にました」
 老人もそれは認めてきた。 
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