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髑髏天使

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第三十八話 老婆その五


「それも危険だし」
「ですよね。十代でも下手したらなりますよね」
「なるわよ。そしてそうならない為には」
「身体をよく動かしてですね」
「そういうことよ。節制も大事だけれどね」
 だがそれは幾分かどうでもいいという感じだった。言葉にそれが出ていた。
「やっぱり身体をじっくりと動かしてね」
「では帰ってからもだな」
「トレーニングするのね」
「当然だ」
 言うまでもないといった口調で妹に述べた。
「そういうことだ」
「そう、凄いわね」
「未久ちゃんは今日はこれで終わりなのね」
「滅茶苦茶泳ぎましたから」
 だからだと。アイスを食べ続けながら答えたのだった。
「ですからもう」
「わかったわ。それじゃあね」
「サウナも入りましたし。すっきりしましたし」
「牧村君もそれは同じだけれど」
「俺はまだする」
 こう返すだけの今の彼だった。
「まだできる」
「だからなのね」
「そうだ、それでだ」
 また言ってであった。そのうえでだ。
 食べ終えると少し休んでから屋敷に戻った。未久は後ろに乗り兄に掴まる。若奈が側車に乗ってそのうえで三人で戻ってだ。それでトレーニングをするのだった。
 それが終わるとだ。夕食を食べて夜になった。その時にだった。
 屋敷の外で涼んでいた。庭で池のほとりにいる。そこには鯉達がいる。しかし今は闇夜の中で姿は見えない。その鯉達ではなく上の黄色い月を見ていた。その時だった。
「お久し振りですね」
「ここまで来たのか」
「はい、とはいってもです」
 あの老人だった。温厚な笑みでだ。庭にある松の木陰から出て来たのである。
「今は何もしません」
「闘わないというのか」
「魔物達もいませんし」
 穏やかな声で言ってくる。
「それにです」
「それにか」
「今の貴方と戦ってもです」
「面白くないというのか」
「そうです。あまり戦いにお心を向けていませんね」
「確かにな」
 牧村の方も頷いてみせたのだった。
「それはな」
「だからです。それはです」
「しないというのか」
「今日は別の用件で来ました」
「ではそれではだ」
 牧村の方から彼に対して問うた。
「それは何だ」
「はい、それはです」
 そしてだ。老人は穏やかに話してきたのだった。
「最後の魔神のことですが」
「その十二柱目か」
「間も無くここに来ます」
 そうだというのである。
「貴方の前に」
「そうか」
「思われることは?」
 思わせぶりな笑みでの問いだった。
「それで」
「思うことがないと言えば」
「それはまた剛毅ですね」
「剛毅とは思わない」
 そうではないというのだった。
「ただそう思うだけだ」
「左様ですか」
「しかし。それで十二柱か」
「これで全て揃った次第です」
「どうした相手かは見る」
 それはだというのだ。 
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