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髑髏天使

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第三十七話 光明その二十


「最後にだ」
「そう、最後にね」
「そうだ、最後に入る」
「何でなの?それは」
「少し座禅をする」
「ふうん、座禅ね」
「それをしてから入る」
 こう妹に話す。
「それからだ」
「そう、それからね」
「それから入る」
 また言った。
「ゆっくりとな」
「成程、それでなのね」
「だから先に入るといい」
 こう言って妹に勧める。
「わかったな」
「わかったわ。お爺ちゃんとお婆ちゃんはもう入ったの」
「スーパー銭湯に行った」
「あれっ、そっちなの」
「お爺ちゃんとお婆ちゃんの趣味だからだ」 
 そうだというのである。
「だからだ」
「ふうん、相変わらずお風呂好きなのね」
「最近は街でも温泉に入られると喜んでいる」
「それはそうよね。サウナだってあるし」
「サウナは好きか」
「好きよ」
 答えながらまた笹団子を食べるのだった。
「汗かいてその分奇麗になれるしね」
「だからか」
「そうよ。だからね」
 にこりとしていた。どうやら本当にサウナが好きらしい。それが窺える言葉だった。
 未久は牧村にさらに話してきた。
「それでなのよ」
「サウナは美容にいいのか」
「最高にいいのよ。じゃあ私も明日ね」
「入るのか」
「入りたいわね」
 また言うのであった。
「是非ね」
「なら連れて行く」
「有り難う」
「そこまで言うなら俺もだ」
「奇麗になりたいの?」
「健康になりたい」
 言うのはこちらだった。
「俺はだ」
「健康なの」
「そもそも奇麗になるのもだ」
「ええ」
「健康であってこそだな」
 そこが原点だというのだ。これが牧村の考えだ。
「そうだな」
「まあそうよね」
 未久も兄のその言葉に頷く。
「健康じゃないとどうにもならないし」
「健康は幸福の原点だ」
 牧村はこうまで言った。
「そもそもそこからはじまる」
「ううん、言われてみれば」
「だからだ。俺はその為に行って来る」
「ねえ。そのサウナだけれど」
「何だ」
「スポーツジムとかある?」
 このことを問うのだった。かなり不意にだ。
「そっちはあるの?」
「確かな。あったな」
「プールは?」
「それもある」
「よし、じゃあわかったわ」
 未久はここまで聞いて腕を組んで述べた。
「それじゃあそこにね」
「行くんだな」
「一緒に泳ぐわ」
 それもするというのである。
「水着も持って来たし」
「用意がいいな」
「泳ぐのも好きだしね」
 にこりと笑って言うのであった。
「だからね」
「太らない筈だな」
「身体をよく動かすからよね」
「だから太らないということだな」
「そういうことね。それじゃあまた明日ね」
「行くか」
「行くとしますか。明日ね」
 兄妹で言い合ってだった。そのうえで明日のことも話すのだった。牧村は落ち着きの中にいた。それは戦いとは完全に別の世界であった。


第三十七話   完


                 2010・5・17 
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