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髑髏天使

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第三十七話 光明その十


「今度はだ」
「知らせに来た」
 ヘルメットの中からこう言ってきた。
「貴様にだ。あることをだ」
「あることか」
「最後だ」
「最後!?」
「十二柱の最後だ」
 こう言ってきたのである。
「それが出て来る」
「魔神か」
「如何にも」
 その彼等のことだった。
「それが出て来る」
「そうか、来たか」
「忘れてはいなかったな」
 今度はこのことを問うのだった。ハーレーからだ。漆黒のスーツとヘルメットのせいで表情も何も見えはしない。しかしそれでも言うのだった。
「それは」
「無論だ」
 牧村の返答も一言だった。
「それはだ」
「そうか。そう言えるか」
「何度でも言える」
 また言う牧村だった。
「このことはだ」
「そうか。既にか」
「それでだが」
 今度は死神に対して自分から言ってみせた。
「俺からも聞きたいがだ」
「何をだ」
「貴様は俺を刈るつもりだったな」
 問うのはこのことだった。
「そうだったな」
「如何にも」
 このことを隠しもせず答えた死神だった。
「その通りだ」
「そうだったな。だが今は何故それをしない」
「人間だからだ」
 これが死神の返答だった。
「これは何度も言った筈だがな」
「そうだったな、確かにな」
「わかっていたらそれを問う理由は何だ」
「確かめたかったのだ」
「それでか」
「そうだ、だからだ」
 こう答えるのだった。
「それでだ」
「確かめたいというのは余程気になったか」
「若し刈るというのならだ」
「闘うか」
「俺はむざむざやられる趣味はない」
 本気だった。その言葉だった。
「決してだ」
「そうだな。貴様はそういう男だな」
「如何にも」
 その通りだともいうのだった。
「その時は貴様を倒すつもりだった」
「だった、か」
「そうだ、だっただ」
 あえて過去形の言葉を出してみせているのだった。
「今は貴様はそうしないのだな」
「貴様が人間であるならばだ」
「そうか」
「そうだ。そしてだ」
 死神の言葉のターンになっていた。彼はそのターンを上手く使って言うのだった。
「いいか」
「今度は何だ」
「貴様は今智天使だ」
「しかしさらにか」
「そうだ、まだ一つ上があるな」
「最上位にか」
「それになれるかもな」
 こう言ってきたのだった。
「間も無くな」
「至高の天使にか」
「その力はかなりのものだ」
 それについて知っている言葉だった。
「神に近い」
「神にか」
「その力、使いこなせるか」
「使いこなしてみせる」
 これが今の彼の返答だった。 
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